千葉市におけるPETボトルの資源循環実証実験の成果
はじめに
環境への配慮が高まる中、特にプラスチックのリサイクルが重要な課題となっています。キユーピー株式会社と日清オイリオグループが共同で取り組んだ実証実験は、千葉市内のイオン・イオンスタイル8店舗を拠点に、生活者が使用済みのドレッシングや食用油のPETボトルを回収するものでした。この活動は、資源循環の重要性を伝えるだけではなく、実際の回収結果を通じて生活者の意識を高めることを目的としています。
実証実験の概要と実施期間
この実証実験は、2024年5月29日から11月30日までの期間に実施されました。具体的には、千葉市の以下のイオン・イオンスタイル店舗で行われました:
- - イオンスタイル幕張新都心
- - イオンスタイル幕張ベイパーク
- - イオンスタイル鎌取
- - イオンスタイル検見川浜
- - イオン海浜幕張店
- - イオンマリンピア店
- - イオン稲毛店
- - イオンスタイル千葉みなと
この各店舗に設置されたリサイクルステーション周辺には、燈ボックスが設けられ、家庭から出る油付きPETボトルの回収を行いました。
回収の目的
この実証実験には、いくつかの重要な目的がありました:
1. 資源循環の実現に向けた使用済み油付きPETボトルの排出量と性状を検証。
2. 生活者に対して、油付きPETボトルが燃えるごみやプラスチックごみではなく、資源として扱えることを理解してもらうこと。
回収結果と実際のデータ
実証実験の結果、設定した回収目標100kgを上回り、約175kgのおよそ5,500本の油付きPETボトルを回収することに成功しました。これは、この取り組みに対する生活者の関心の高さを示しています。
また、回収されたボトルは、ほとんどが指定された条件に従って清潔な状態であり、回収量も時間の経過とともに増加傾向にありました。しかし、回収対象ではない食用油のPE(ポリエチレン)ボトルも多く見られ、プラスチックに関する知識が生活者に十分に浸透していないことが明らかになりました。
生活者の意識変化と学び
実証実験を通じて得た知見は以下の通りです。
- - 資源循環への関心の高まり: 回収されたボトルがきれいな状態であったことから、生活者の関心が高まっていることが推察されます。
- - 正確な情報提供の難しさ: プラスチックの種類に関する情報が浸透していないため、生活者が「プラスチック」として広く捉える傾向がありました。この点については、今後のコミュニケーションが鍵となります。
- - 継続的な情報提供の重要性: 回収取り組みの途中で、対象ボトルを詳しく示すチラシの配布などを行った結果、回収量が増え、対象外のボトルが混ざる割合も減少しました。
今後の展望
今回回収された油付きPETボトルは、今後の技術検証に活用される予定であり、継続的な資源循環への取り組みが期待されます。キユーピーと日清オイリオグループの協力によるこの実証実験は、環境問題に対する企業としての責任を果たす一歩であると同時に、生活者への教育にも寄与するものです。
おわりに
この実証実験は、千葉市を皮切りに、全国でのPETボトルの資源循環の実現に向けた新たなステップとなるでしょう。地域の住民に環境意識を促し、持続可能な社会を築くための重要な参考となることが期待されています。