NanoFrontierがJ-StarXのデュアルユースプログラムに採択
NanoFrontier株式会社は、日本貿易振興機構(JETRO)が提供する海外起業家育成プログラムの一環として、J-StarXの「Dual-Useコース」に選ばれたことを発表しました。このプログラムは、軍事と民生両方で利用可能な技術を事業化しようとする企業に支援を提供します。特に、米国でのビジネス開発、専門家によるメンタリング、さらには防衛関連機関や投資家とのネットワーキング機会が提供されます。
採択の背景と技術力
NanoFrontierは、有機ナノ粒子の精密設計や高分散化、そして連続生産に関する基盤技術を強みにしており、これらの技術を駆使して様々な研究開発に取り組んできました。具体的には、有機ナノ粒子を利用した試薬の開発や、PFAS(パーフルオロアルキル物質)検出用の試薬の研究開発、さらには液浸冷却液や環境計測材料、エネルギー材料への応用が展開されています。これらの技術は、環境やエネルギー、産業といった民生の分野だけでなく、安全保障や防衛分野にも活用できるため、非常に高い可能性を秘めたデュアルユース技術として注目されています。
特にPFAS問題は、米国国防総省が運用する軍事施設で消火剤として長年使われてきた経緯から、世界中の700か所以上の基地周辺での地下水汚染を引き起こすなど、深刻な環境問題として取り上げられています。PFASの使用が2025年までに全面廃止予定ですが、既存の汚染への対応は緊急の課題となっています。このように、PFASの問題は軍事用途から民生・産業全般にまで広がる大きな社会課題となりました。
米国の支持プログラムとNanoFrontierの取り組み
米国では、EPA(環境保護庁)やDoDを中心に、PFASの検出・分解・無害化に向けた技術開発を支援するSBIRプログラムが進められています。ここでNanoFrontierは、東北大学発の有機ナノ粒子技術を基盤にした高感度・即時検出が可能なプラットフォームの開発に取り組んでいます。このプラットフォームは、軍事施設由来の環境問題に対する解決策を提供するだけでなく、水道インフラ、工場排水、環境モニタリングなど、民生用途への展開も見据えています。
また、NanoFrontierは現在、Go-Tech事業などの公的支援制度を活用し、累計で約1億円規模の補助金を獲得しています。J-StarX Dual-Useコースへの採択は、これまでの研究開発をより広い市場に展開する重要な一歩となります。
今後の取り組み
NanoFrontierは、今後以下の取り組みを進めていきます。
- - 米国市場での事業仮説の見直し
- - デュアルユース技術に関するユースケースの明確化
- - 知的財産権や規制面の検討
- - 防衛、環境、産業分野におけるパートナーの探索
これにより、社会課題の解決と事業成長の両立を目指します。
代表コメント
代表取締役の井上誠也さんは、「J-StarX Dual-Useコースへの採択は、当社の有機ナノ粒子技術がより広い社会的価値を提供する可能性を示しています。国内で培った研究開発力を基に米国を含むグローバルな文脈での事業化を進め、環境、セキュリティ、産業競争力の向上に寄与する技術を実装していきたい」と述べています。
J-StarXプログラムについて
J-StarXは、JETROが主導する海外起業家育成プログラムで、日本発のスタートアップの国際展開を支援します。特に、「Dual-Useコース」では、軍民両用技術に焦点を当てて、米国での事業開発やネットワーク構築を支援しています。
NanoFrontierの概要
- - 会社名:NanoFrontier株式会社
- - 代表者:井上 誠也
- - 所在地:宮城県仙台市青葉区片平2-1-1 東北大学産学連携先端材料研究開発センター215号室
- - 設立年:2025年4月7日
- - 事業内容:有機ナノ粒子技術を用いた試薬品及び機能性材料の研究開発・製造・販売
有機ナノ粒子の製造受託及び関連技術の提供
有機ナノ粒子化技術分野における技術ライセンスの供与及び技術コンサルティング