日本初の責任ある水産物調達ラウンドテーブルが始動
2023年10月2日、株式会社シーフードレガシーの主導のもと、日本国内の水産物関連企業7社が協力して「責任ある水産物調達ラウンドテーブル」(The Japan Responsible Seafood Roundtable)を発足させました。この新しい協働機関の設立は、海洋資源の持続可能性やサプライチェーンにおける人権・環境問題への対応が求められる現状において、特に意義深いものです。
背景:水産物調達における重要性
近年、環境問題や人権問題に対する意識が高まってきており、特に水産物を扱う企業は「責任ある調達」の実施が期待されています。しかし、個別の企業では解決が難しい多くの課題が存在しており、これを受けて7社が一堂に会し協働する枠組みを設立するに至っています。
ラウンドテーブルの目的と重点課題
本ラウンドテーブルには、以下の3つの目的が掲げられています:
1.
人権デューデリジェンスのシステム整備:企業間での協力により、優先課題に対して効果的な解決策を模索していく。
2.
環境デューデリジェンスの実施:企業が環境改善に向けた実効性のあるシステムを確立することで、持続可能な調達の実現を目指す。
3.
透明性のある水産物トレーサビリティの確保:国際的な基準に従ったトレーサビリティの実現に向けて、参加企業が協力しながら取り組む。
このように、ラウンドテーブルは持続可能な水産物調達の実現に向け、重要な役割を果たすことを期待されています。
取組内容と今後の展望
この組織が重点的に取り組む課題には、人権や環境、トレーサビリティの実践があります。特に、2025年10月からはメンバー企業間で情報を共有し、共通ガイドライン作成を目指します。これにより、日本から世界に向けて責任ある水産物流通を広めていく計画です。
参加企業の声
参加企業は、ラウンドテーブルの活動に対して非常に期待を寄せています。株式会社セブン&アイ・ホールディングスの馬渕悠人氏は、「持続可能な水産物の調達は社会的責任であり、消費者の信頼を得るためにも大切です」と述べ、協働による実効性のある仕組みづくりを目指しています。
また、ニッスイの西昭彦部長は、「企業の枠を越えた協働の場として、責任ある水産物調達の新たな潮流を築くことを期待しています」とコメントしています。
企業間の連携の必要性
マルハニチロの佐藤雄介部長は、水産資源の重要性を認識し、「IUU漁業対策や人権侵害の問題に対して、企業が一丸となって解決に向かう必要があります」と強調しました。
株式会社シーフードレガシーの代表取締役副社長、山内愛子氏は、ラウンドテーブルの設立は、日本企業による持続可能な調達の取り組みを促進するための重要なステップだと述べています。彼女は、「水産市場が国内外での連携を強化し、真に課題解決に貢献することが求められています」と結論づけています。これにより、日本が国際的にも責任ある水産物調達のモデルケースとなることが期待されているのです。
このように「責任ある水産物調達ラウンドテーブル」は、業界を超えた協力によって持続可能な水産物調達を推進していく新たな試みとして注目されています。