ispaceとブリヂストンが共同開発へ
日本の宇宙スタートアップである株式会社ispaceと、タイヤ・ゴム業界のリーディングカンパニーであるブリヂストンが、月面探査車用タイヤの実用化に向けて基本合意書を交わしました。この合意は、2050年を見据えた新たな宇宙ビジネスの発展に寄与するもので、両社は共同で中小型月面探査車の開発に取り組むことになります。
合意の背景
基本合意書は2025年7月15日に締結され、ispaceのCEO袴田武史氏とブリヂストンの新モビリティ事業部門長太田正樹氏が出席し、双方の技術的な協力と共同開発を確認しました。このプロジェクトは、月面探査を目指すための環境を整える重要なステップとして位置づけられています。
技術的な特徴
ispaceが開発する探査車は、自走機能や高解像度の写真撮影、さらには月面水資源の探査を目的としています。この小型車両に装着されるブリヂストンのタイヤは、高い柔軟性と耐久性を特徴とし、過酷な月面環境下でも優れた走行性能を発揮します。具体的には、金属製スポークを使用し、障害物を乗り越える能力を持っているため、さまざまなミッションに対応可能です。
共同での検証と評価
両社は、この新しいタイヤ技術を用いて地上での性能評価を行い、その結果をもとに月面での運用可能性と事業性を評価していきます。最早2029年には実用化を目指すとされており、これに向けた開発ロードマップも策定されています。特に、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙戦略基金を活用して、さらなる技術の向上と課題の解決を図る予定です。
両社のコメント
袴田氏は、「多様な業種が参加することがシスルナ経済圏の構築には不可欠であり、ブリヂストンとの協業はその良い例です。月面探査車用タイヤの開発が、人類の宇宙探査の進展に寄与すると確信しています」と述べています。
一方、太田氏は「ブリヂストンは月面探査車用タイヤの研究開発を積極的に進めており、ispaceとの協業により日本の月面開発が一層進展することに期待しています」と強調しました。
未来の展望
今回の合意は、単なるタイヤの共同開発にとどまらず、日本が宇宙ビジネスでのリーダーシップを維持するための重要な一歩です。両社は月面探査に向けた共通の夢を持ち、技術革新を杖にしながら未来の宇宙開発を切り開くことでしょう。この協業は、地球から月へと広がる新たな経済圏の構築に寄与することが期待されています。特に、月面資源の開発や新たな商業活動の可能性を秘めたこのプロジェクトは、今後の動向が非常に楽しみです。