株式会社JVCケンウッドと株式会社サイエンスアーツが、IP無線分野での資本業務提携契約を締結した。この提携は、成長が見込まれるIP無線市場への進出を加速させることが目的であり、両社は共同でIP無線機やサービスの開発を進めていく。加えて、両者の豊富な販売ネットワークを活用し、国内市場での販売を拡大する一方で、北米をはじめとして国際市場への展開も計画している。IP無線はインターネットプロトコルを基にした通信方式で、スマートフォンのように複数人との同時通話を可能にする。この技術の普及により、需要は急速に高まっており、2023年の市場規模は約1,200億円に達する見込みだ。JVCケンウッドは無線技術において約80年の歴史があり、特に公共安全市場での強みがある。また、サイエンスアーツは、クラウドサービス「Buddycom」の開発を通じて、国内市場での優位性を築いている。この共立的なパートナーシップにより、相互の強みを活用した新たな製品やサービスの提供が期待されている。
提携契約の下、両社は以下の活動を推進していくことになる。
1.
IP無線機・サービスの共同開発: JVCケンウッドは無線端末のハードウェアに関する技術を持ち、サイエンスアーツはソフトウェアに特化した知識を提供する。具体的には、Buddycomのプラットフォームを基盤として、両社の技術を融合させたIP無線機の開発を行う予定だ。
2.
国内外市場の販売展開: サイエンスアーツが有する国内ネットワークを活かして製品の普及を図り、加えてJVCケンウッドの強みを生かして北米を中心とした国際市場へのアプローチも行う。両社のリソースを最大限に活用することで、より多くの顧客にアプローチし、特にフロントラインワーカー向けのコミュニケーション手段として革新をもたらすことが狙いだ。
このパートナーシップにより、IP無線に対する市場ニーズを満たすとともに、ユーザーにとって利便性の高いサービスを提供することが目指されている。株式会社JVCケンウッドの鈴木昭氏は、この契約による提携が信頼性の高い製品とサービスの提供につながることを期待している。また、サイエンスアーツの平岡秀一氏は、この提携を通じてフロントラインワーカーの働きやすい環境を実現する意義を強調した。
この新しい試みは、特に高度な通信技術を求める現場での働き方を変える可能性を持っており、今後の展開に注目が集まると考えられている。