VRアニメーション映画『猫が見えたら』のノミネート
株式会社講談社VRラボが制作したVRアニメーション映画『猫が見えたら』(英題:IF YOU SEE A CAT)が、第82回ヴェネツィア国際映画祭のVR部門「VENICE IMMERSIVE」にノミネートされました。これは2025年8月27日から9月6日まで開催されるイベントに参加するための選考において重要な一歩となります。
作品の背景とテーマ
。この作品には、日本の精神医療の厳しい現実が反映されています。このテーマは近年、ますます注目されており、精神疾患で治療を受けている人々の苦境に対する理解を深めるための重要な試みといえるでしょう。実際、この数年で日本では20人のうち1人が精神疾患の治療を受けているというデータもあります。精神医療の歴史や背景、その難しさについて改めて考えさせられる作品です。
物語は、愛猫を失った少年が、猫の幻覚を見るようになり、それによって精神疾患と診断されてしまう。少年は強制的に入院を余儀なくされ、そこでの体験を通じて精神医療の問題、母子の関係性、そして個々の希望を探る内容となっています。VRという特異なメディアを利用することで、視聴者はまるでその少年になったかのように、彼の経験を追体験できます。
監督と制作スタッフの思い
和田淳監督は、精神疾患の経験がない中で、この作品を制作することになる自身の立場について、将来自分が同じ状況に直面する可能性を常に意識しながら描いていると語っています。このような視点は、観客に深いメッセージを伝えます。プロデューサーの石丸健二さんもまた、「猫が見えたら」というタイトルには主人公のセリフの意味が込められており、精神医療の難しさを考える契機になればと希望を寄せています。
ヴェネツィア国際映画祭について
ヴェネツィア国際映画祭は、イタリアの美しい都市ヴェネツィアで毎年行われる国際映画祭で、カンヌ国際映画祭やベルリン国際映画祭と並ぶ世界三大映画祭の1つです。その中の「Venice Immersive」部門では、世界中から優れた作品が集まり、映像作品やXRクリエイターにとって名誉ある舞台とされています。
作品概要
『猫が見えたら』は約37分の長さで、VRアニメーションという新しい形式で展開され、観客に新たな体験を提供します。企画・制作は株式会社講談社、完成予定は2025年8月です。主要キャストには、佐藤聴成さん、恒松あゆみさんなどが参加しています。
まとめ
このVRアニメーション映画は、ただのエンターテインメントではなく、メッセージ性のある作品と言えます。精神医療に関する現実を直視し、幻覚と現実との境界で揺れる少年の心情を通じて、観客に多くのことを考えさせることでしょう。今後の展開や、ヴェネツィア国際映画祭での評価に注目です。