ワイヤレス給電技術の進展
エイターリンクという米国スタンフォード大学発の技術系ベンチャー企業が、竹中工務店と共に最新のワイヤレス給電技術の実証実験を実施しました。今回の実験は、次世代のインテリジェントビルに不可欠な環境センサーをターゲットとしたもので、最大15メートル離れた距離でも環境センサーが正常に稼働することを確認しました。
背景
現在、ゼネコンや不動産業界では、センサーネットワークを用いたデジタルトランスフォーメーションが進められています。しかし、従来の電力供給方法は有線や電池式が主流で、配線や管理コストが高く、実装の障壁となっていました。この問題を解決するため、エイターリンクはマイクロ波を利用した給電技術を開発しました。この技術は、最大20メートル離れた場所へも数ミリワットの電力を供給できる性能を持っています。
実証実験の経緯
竹中工務店は、タスクアンビエント空調の実現に向けて各種技術の検討を行っていました。タスクアンビエント空調とは、各席に配置されたセンサーによって細かく快適な空調制御をする仕組みで、ビル全体の電気代を30%程度削減し、環境の快適性を高めることを目指しています。しかし、これまでの配線コストが高いため、漏水センサーなどの設置は難しい状況でした。そこで、エイターリンクの技術が注目されることとなりました。
実証実験の結果
実際に行われた実証実験では、以下の点が確認されました:
- - 最大15メートル離れた場所でもLEDライトが正常に点灯すること。
- - 天井裏に送信機を配置し、フロア全体にセンサーメッシュを構築可能なこと。
- - 金属体が障害となる環境でも安定して給電できること。
- - キャパシタに3.385mwの電力供給が可能であること。
この実験により、エイターリンクのワイヤレス給電システムがオフィス環境においてセンサーメッシュを構築するための有効な手段であることが立証されました。
今後の展開
エイターリンクは、様々な環境でのワイヤレス給電応用を視野に入れ、多様な実証実験を計画しています。各実験の前には慎重なシュミレーションを行い、効果的な実施を目指しています。また、実証実験に関する具体的な要望は、エイターリンクのホームページを通じて受け付けているため、興味のある方はぜひ問い合わせてみてください。
まとめ
エイターリンクと竹中工務店の共同作業によるワイヤレス給電の実証実験は、次世代のインテリジェントビルにおける新たな技術の可能性を広げるものとなりました。タスクアンビエント空調の実現に向けて、これからもさらなる研究・開発が期待されます。