洋服廃棄物から資源へ
2021-09-13 12:30:03
洋服の廃棄物を資源に変える〜日本初の繊維ゴミ活用の取り組み〜
繊維ゴミを「資源」として活用する新たな試み
洋服の廃棄物が「ゴミ」と認識されがちな現代において、それを「資源」として再活用しようという動きが日本で始まりました。2021年9月9日、一般社団法人サーキュラー コットン ファクトリー(CCF)が、繊維の廃棄物を50%以上使用した紙「サーキュラー コットン ペーパー(CCP)」を開発したことが発表され、注目を集めています。
CCFの設立背景と繊維ゴミ問題
日本では毎年約28.5億枚の洋服が製造されていますが、そのうち半分以上は売れ残り、必然的に新品の状態で破棄されることが多いのが現状です。また、製造過程で発生する繊維クズや家庭から排出される衣類など、繊維ゴミは世界のゴミの約14%を占めています。それにもかかわらず、繊維ゴミをリサイクルする率はわずか17.5%にとどまっています。一方で、日本における紙のリサイクル率は67%と、高い数字を誇ります。
この矛盾を解決するためにCCFは、「繊維から紙へ」という循環型システムを構築し、持続可能な社会の実現を目指しています。CCFの代表理事である渡邊智恵子氏は、「私たちは、事業者や一般の生活者を巻き込んだ啓蒙活動を通じて循環型社会を広めていく」と語っています。
サーキュラー コットン ペーパー(CCP)の特徴
CCPは、印刷適性が高く、視覚的にも優れた品質を持つ紙です。繊維ゴミを紙に変えるための技術開発を進め、繊維の回収から量産、流通の仕組みまでを確立しました。これにより、繊維ゴミを資源として活用する長期的なプロジェクトが実現可能になっています。さらに、CCPの開発は継続的に進められており、今後は化学繊維や非コットンの繊維ゴミも再生するための技術開発も予定されています。
和紙の開発とSDGsへの取り組み
CCFの活動はここでとどまりません。彼らは繊維ゴミを70%使用した新しい和紙の開発にも取り組んでおり、日本独自の紙文化を継承しつつ、グローバルな視点でSDGsの理念を実践していこうとしています。この和紙は、様々な文化やデザインに活かされ、日本から世界中へと発信される予定です。
100 projectの展開
CCFは、CCPを使用した「100 project」という新しいプロジェクトを開始しました。このプロジェクトでは、パートナー会員として参加した企業や団体がCCPを用いた事例を100パターン紹介することを目指しています。具体的には、着なくなった洋服をリサイクルして作る手漉き和紙を用いた卒業証書の作成や、子供たちが未来へのメッセージを書くはがきなど、創造的な活用が提案されています。
企業や団体からの支持
CCFの取り組みには多くの支持も寄せられています。日本郵政株式会社の増田寬也社長は「衣料の廃棄物を再生するCCFの活動に賛同している」とコメントし、将来的には小学生・中学生向けの手紙の書き方授業などを通じて、環境問題への意識を高める施策を展開する意向を示しました。
また、ファッションデザイナーの皆川明氏は「廃棄物を紙に置き換える取り組みは、ファッション産業だけでなく、多くの産業にとってもプラスになる」とその意義を強調しました。
結論
CCFの活動は、廃棄物問題だけでなく、環境への配慮、持続可能な商品開発を促進すべく広がりを見せています。繊維ゴミを資源として活用することで、私たちが次の世代に引き継ぐべき持続可能な社会の実現に貢献していくことが期待されているのです。
会社情報
- 会社名
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一般社団法人サーキュラーコットンファクトリー
- 住所
- 東京都目黒区目黒1ー1ー16目黒台マンションC308
- 電話番号
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090-2223-9773