デンマークのエグモント校と共生社会を考える上映会開催

デンマークのエグモント・ホイスコーレンが来日

2023年3月23日、埼玉県の国立女性教育会館にて、デンマークのインクルーシブ教育の先端校、エグモント・ホイスコーレンの教師と学生たちが来日し、映画「リース遠征隊」の上映会とワークショップを開催します。このイベントの目的は、障害を抱える人々の権利と教育について考え、共生社会の実現へ向けた一歩を踏み出すことです。

背景にある障害者権利条約

昨年8月、国連・障害者権利委員会が日本政府に対し、「障害者権利条約」についての審査を行いました。この条約は2006年に国連総会で採択されたもので、障害者の権利の実現に向けた様々な措置を規定しています。しかし、日本の教育現場では、重度の障害を持つ児童生徒が特別支援学校にしか入学できない現状があり、地域の学校では受け入れが不十分であるという問題があります。このような状況は、「分離された特別支援教育の長期化」をもたらしており、教員のスキル不足も指摘されています。

エグモント・ホイスコーレンの特徴

エグモント・ホイスコーレンは、デンマーク・ユトランド半島にある全寮制の学校で、約220名の学生のうち、40%は身体、知的、または精神的障害を抱えています。学生たちは国のアシスタントヘルパー制度を利用して、障がいのない学生と共に生活し、日常生活のサポートを受けながら学びを深めています。ここでの教育は「よき人生」を実現することを求めており、学生一人ひとりが自己決定し、尊重される社会の形成を目指しています。

『リース遠征隊』の上映会

今回の上映会では、2015年8月に実際に行われた登山の様子を描いたドキュメンタリー映画「リース遠征隊」を観賞します。映画では、急速に進行する脊髄小脳変性症の1つであるマチャド・ジョセフ病を持つヤコブ・リースさんが仲間とともに北ヨーロッパ最高峰のガルフピッゲン山を登頂する様子が収められています。仲間たちが彼を支え合いながら、様々な困難を乗り越えていく姿は、共生の大切さを教えてくれる感動的なストーリーです。