東京・南青山に位置する根津美術館では、2025年2月22日から3月30日までの期間、特別展「武家の正統-片桐石州の茶-」が開催されます。この展覧会では、江戸時代の武家層に深く浸透した茶道文化の一端を紹介します。
片桐石州(1605〜73)は、武家茶道で知られる石州流の祖として知られており、大和国小泉藩の第2代藩主でもありました。彼は千利休の子息である千道安から茶の湯を学び、その後、桑山宗仙を師として利休流の侘び茶の技術を継承しました。江戸においては自らの茶室で武家層をもてなし、格式高い茶会を催しました。特に、寛文5年(1665年)には、4代将軍徳川家綱に献茶を行い、武家茶道の地位を確固たるものにしたのです。
本展覧会の目玉は、石州自身の愛用の茶道具です。これらは、江戸時代を通じて多くの大名や武家に広がった石州流の茶が、どのようにして発展していったのかを示しています。著名な大名茶人たちによっても受け継がれ、石州流は徳川政権下における武家の正統だと位置付けられることになりました。
本展の特別な取り組みとして、関連イベントも予定されています。2025年3月8日(土)には、MIHO MUSEUMの館長・熊倉功夫氏による講演会「片桐石州の茶の湯」が開催されるほか、2月28日(金)と3月21日(金)には、当館の学芸員によるスライドレクチャーも行われます。
同時開催として、江戸時代の椿園芸をテーマにした「百椿図」や、春の茶の湯に関連した展示もあり、観覧者は多様な美術体験を楽しむことができます。また、庭園内の茶室でも、華道家元池坊の協力により椿を用いたいけばな展示も行われ、豊かな日本の文化が堪能できます。
根津美術館で、この機会に歴史深い武家の茶道に親しみ、日本文化の美を体感してみませんか。入館料は、一般1500円(オンライン予約で1300円)で、学生は1200円(予約で1000円)となっています。なお、中学生以下は無料です。
アクセスは、地下鉄表参道駅から徒歩で8分ほど。平日も週末も訪れやすい込み入った日々の中で、静かな美術の世界に浸るチャンスです。ぜひ、根津美術館での特別展に足を運んでみてください。