法令・技術で高齢者の移動を支援するシンポジウムが東京で開催

高齢者の安全・安心な移動を考えるシンポジウム

2024年3月11日、東京科学大学大岡山キャンパスにおいて、「高齢者の安全・安心な移動・モビリティについて考える」というテーマのシンポジウムが開催されました。このイベントは、一般財団法人トヨタ・モビリティ基金（TMF）が主催しており、東京科学大学と連携して進められる「交通安全高度化協働研究拠点」の一環として行われました。

シンポジウムには、大学や研究機関、自治体、モビリティ業界、損害保険、医療関係者など、多様な背景を持つ約140名の参加者が集まりました。この場では、高齢者が事故の当事者になるケースや免許制度の現状、運転能力の評価に関する課題が議論され、参加者は高齢者の安全をサポートするための具体的な施策やアプローチについて意見を交わしました。

プログラムの構成

シンポジウムは、2つの主要な部分から構成されていました。第1部では、3名の専門家が高齢者の移動に関する講演を行いました。特に、超高齢化社会における運転の寿命を延ばすための取り組みや、高齢運転者の支援策について話が展開されました。

招待講演者の紹介

1. 超高齢社会における運転寿命の延伸
   『三村將』氏（慶應義塾大学予防医療センター名誉教授・特任教授）が、運転寿命を延ばすための医療的アプローチについて説明。

2. 高齢運転者対策について
   『白井里志』氏（警察庁交通局運転免許課課長補佐）が、法律的な対策や現行の免許制度について解説。

3. 高齢者・障がい者の運転可否判断、運転リハビリテーション、モビリティ支援
   『堀川悦夫』氏（福岡国際医療福祉大学教授）が、運転リハビリテーションに関する最新の取り組みを紹介しました。

第2部では、「交通安全高度化協働研究拠点」の狙いと活動内容に加え、関連する「タテシナ会議」の高齢者安全運転支援分科会が果たす役割についても紹介されました。ここでは、研究の進捗や新しい提案も含めて、事故防止に向けた様々な視点が提供されました。

高齢者を支援するための取り組み

- 協働研究拠点の紹介: 『堀江信彦』氏（トヨタ・モビリティ基金プログラムゼネラルマネジャー）が、基金の目的と共同研究の意義を説明。
- タテシナ会議高齢者分科会の活動報告: 『福島一博』氏（株式会社デンソー）が、実際の取り組みや成果を報告。
- 研究報告が示す未来: 『吉武宏』氏（東京科学大学特任准教授）が、今後の研究成果と方向性について言及しました。

今後の展望

このシンポジウムは、高齢者の移動問題の重要性を再認識させ、異なる専門分野の知見を結集する絶好の機会となりました。参加者たちは、それぞれの知識や経験をもとに意見を交わし、今後の課題解決に向けた合意形成を促進しました。

トヨタ・モビリティ基金は、これからも高齢者の安全で快適な移動支援に向けた様々なプロジェクトを展開し、持続可能な社会の実現を目指しています。