大阪オフィス市場レポート:2024年7~9月期、テナント移転需要は堅調、年末に向けた供給増加が焦点に
大手総合不動産コンサルティングサービス・投資運用会社のコリアーズ・ジャパンは、2024年7~9月期の大阪市中心部グレードAオフィス市場レポートを発表しました。レポートによると、同期間の大阪市中心部グレードAオフィス市場は、需要が供給をわずかに上回り、空室率は引き続き低水準を維持したとのことです。
空室率と賃料トレンド
2024年7~9月期の大阪市中心部グレードAオフィス市場は、需要が供給をわずかに上回り、底堅い動きを継続しました。この期間中には、JR大阪駅直結する立地に「イノゲート大阪」が竣工しました。空室率は引き続き低水準を維持しており、平均想定成約賃料も緩やかに上昇しています。今後の成長を見据えた安定的な市場動向が期待されます。
これまでの需要を牽引してきた要因として、人材確保や生産性向上を目的とした戦略的なオフィス移転が挙げられます。特に大阪では、本社機能を持つ大規模テナントの移転、特に周辺部や自己所有のオフィスからグレードの高い賃貸オフィスへ移転するテナントの存在が、賃貸オフィス需要の純増に寄与しています。ただし、入居工事費の高騰や工期の長期化が、一部のテナントの移転判断に影響を与える事例も出始めています。
2024年下期以降の展望
2024年下期は、上期の2倍を超える供給量が予定されており、10〜12月期には、大阪駅周辺の一連の再開発ビルの中では最大規模のグラングリーン大阪ゲートタワーおよびパークタワーが竣工を予定しています。2024年は2009年以来大規模なオフィス供給が予想されており、これらの新築オフィスのテナント内定状況は比較的順調ですが、竣工時点では一定量の空室が残ることが予想され、通年の需要は供給を下回る見込みです。そのため、2024年末にかけては、空室率の上昇が予想されます。
しかし中長期的な見通しでは、2025年以降の新規供給量は減少する見込みであり、需要の大幅な減退要因も現時点では見当たらないことから、2024-26年の平均空室率は改善傾向を示すと予想されます。
エリア別動向
- - 梅田駅周辺エリア: 空室率は前期比で上昇したものの、賃料は引き続き主要エリアの中で最も高い水準を維持しています。エリア内の再開発の進展により、新規供給の影響で一時的に空室率は上昇しましたが、立地優位性を背景とした底堅い需要が継続しています。
- - 中之島エリア: 空室率は主要エリアの中で最も低い水準まで低下しました。賃料は上昇基調を継続しており、代表的なグレードの高いビルを中心に堅調な需要が継続しています。
- - 淀屋橋エリア: 空室率は引き続き低い水準を維持しているものの、賃料はわずかながら調整し、市況に動きが出るのは、このエリアで再開発物件が竣工を迎える2025年以降になると予想されます。
- - 本町エリア: 空室率は改善傾向にあるが、賃料は小幅な下落となりました。新規供給の影響を受けつつも、比較的手頃な賃料水準を背景に、既存物件を中心とした需要は底堅く推移しています。
- - なんばエリア: 空室率は引き続き低水準を維持し、賃料は主要エリアの中で最も大きな上昇率を記録しました。新築物件の竣工と高稼働率が、エリア全体の賃料水準の押し上げに寄与しています。
- - 新大阪北エリア: 空室率は大幅に改善したものの、賃料はわずかに調整。新幹線停車駅という交通利便性の高さを背景とした需要を吸引しています。
コリアーズ・ジャパンについて
コリアーズ・ジャパンは、東京・大阪の拠点に100人以上の専門家を擁し、国内外の投資家・オーナー・テナント向けに、オフィス リーシング、インダストリアル リーシング、リーシングマネジメント、キャピタルマーケット、インベストメントサービス、プロジェクトマネジメント、デザイン ビルド、ワークプレイス コンサルティングおよび不動産鑑定およびホテルズ&ホスピタリティのアドバイザリー業務を提供しています。
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大阪オフィスマーケットレポート|2024年第3四半期(7‐9月期)大阪市中心部・グレードAオフィス