開業社労士の業務スタイルの変化
全国社会保険労務士会連合会(会長:大野実)は、日本全体の開業社労士の業務スタイルに関する探求を進めるため、2024年に「開業社労士の業務スタイルの変化に関する調査」を実施しました。本調査は、社労士法制定から57年が経過した今、社労士制度の持続可能性を考える上で重要な意義を持っています。
調査の概要
この調査は、2024年10月19日から12月1日まで実施され、対象は1,983人の開業社労士に及びました。その結果、1,609人からの有効回答を得ることができ、有効回収率は81.1%という高い数値を記録しました。この数字からも、社労士の業務に対する関心の高さが伺えます。
さまざまな事務所タイプ
調査結果からは、開業社労士の事務所がいかに多様な志向を持っているかが浮き彫りになりました。具体的には、次のようなタイプに分類されました。
1. 事業拡大・成長型タイプ
事業拡大・成長型の社労士事務所は、平均売上が約7,288万円という結果を示しました。このタイプの事務所の特徴として、顧問契約の受注が売上の大部分を占めており、1事務所あたりの顧問契約社数は平均で120社、中央値では74社というデータがあります。手続業務や給与計算業務が主なサービスとして展開されています。
2. プロフェッショナル型タイプ
プロフェッショナル型の事務所では、労働及び社会保険に関する相談やコンサルティング業務に特化しており、売上は平均約1,973万円という結果が出ました。このタイプは、専門的な知識と技術に重きを置くスタイルが特徴です。
3. ライフプランとの両立型タイプ
ライフプランとの両立型事務所は、手続業務や相談業務を中心に展開し、平均売上は約1,444万円でした。このタイプは、社労士が個人のライフプランに寄り添うという観点からも、近年注目されています。
今後の調査の意義
本調査は、社労士制度と業務の在り方をより良いものへと進化させるための考察として行われました。これからも、2年ごとに定期調査を実施し、社労士の実態を把握していく予定です。社会経済のあり方が変化する中で、社労士に期待される役割は増加し、信任度も高まっています。
全国社会保険労務士会連合会は、今後もこの調査結果を踏まえながら、社労士制度の発展に努め、持続可能で信頼される制度作りを推進していく方針です。開業社労士の多様な志向を踏まえたアプローチは、今後の業界のさらなる発展に寄与することでしょう。