シンガポール初の仮想発電所実現へ、Blue Whale Energyに共同出資

Blue Whale Energy社が目指すエネルギー革新

UntroD Capital Asia Pte. Ltd.が運営するリアルテックグローバル2号ファンド（G2号ファンド）は、株式会社山田商会ホールディングと共に、シンガポールにて先駆的な仮想発電所（VPP）を開発・運営するBlue Whale Energy社に共同出資しました。

仮想発電所（VPP）の概要

仮想発電所は、太陽光発電や電気自動車（EV）、蓄電池などの分散型エネルギーリソースをIoT技術で統合し、大規模な発電所に匹敌する機能を持つシステムです。特に、シンガポールにおいては、電力が天然ガスに依存しているため、国際的な市場状況に大きく影響を受けやすいという課題があります。これにより、エネルギー効率の向上や電力コストの最適化が急務となっています。

エネルギー市場庁（EMA）は、このVPPの導入を推進しており、民間セクターの参入を促す制度も整っています。シンガポールの電力市場が変革を迎える中、Blue Whale Energyの取り組みは注目を集めています。

Blue Whale Energy社のビジョン

Blue Whale Energy社は、Gabriel Lim氏が創業したシンガポール初のフルスタックVPPプラットフォームを目指すスタートアップで、独自のナトリウムイオン電池とエネルギー管理ソフトウェアを組み合わせて、新たな電力ネットワークを提供しています。このプラットフォームは、需給のリアルタイム調整と電力システムの強化に貢献し、企業に新たな収益機会を創出しています。

設立1年目にして、同社は2kWhの屋上用バッテリーパックの開発を完了し、商業及び産業向けにパイロット導入を行いました。また、EMAのDemand ResponseプログラムとInterruptible Loadプログラムに統合することで、卸電力市場への進出も果たしています。

出資者のコメント

UntroD CapitalのHenry Tao氏は、「Blue Whale Energy社は分散型エネルギーの未来を具現化しており、シンガポールを中心とした持続可能なエネルギーシステムの構築に貢献できることを嬉しく思います」と述べています。一方、山田商会ホールディングの山田豊久氏は、同社の技術が広いスペースを必要とせず簡単に導入できることを評価し、エネルギーシステムの強靭性向上に向けた取り組みを進める意欲を示しました。

今後の展望と市場拡大

Blue Whale Energy社は、今回の共同出資を契機にバッテリーパックの開発と導入を加速させ、シンガポール国内での大規模展開を目指しています。さらに、フィリピンや日本を含むアジア市場への進出も視野に入れています。特に、日本においては、2025年にGlobal Innovation Allianceプログラムに参加し、生産支援やスケールアップを図る計画です。

このような分散型エネルギーの拡充を通じて、地域社会のレジリエンス強化や、脱炭素化の進展が期待されます。Blue Whale Energy社の今後の取り組みに注目です。