利き手の切り替えの秘密
2026-07-25 00:05:19

脳内のアセチルコリンが利き手の切り替えを支えるメカニズムとは

脳内のアセチルコリンが利き手の切り替えを支えるメカニズムとは



順天堂大学大学院医学研究科の岡本和樹助教と日置寛之教授が率いる研究グループが、利き手の切り替えに関するユニークな行動モデルをマウスを用いて確立しました。この研究は、脳半球間のアセチルコリン活動がどのように利き手の切り替えを支えるのかを明らかにしており、今後の神経科学研究に大きな影響を与えることが期待されます。

研究の背景と利き手の重要性


利き手には、主に右利きや左利きという習慣があり、これらは脳の左右の機能差を反映しています。人間の利き手を切り替えすることは、歴史的にも文化的にも行われてきましたが、その際の脳内メカニズムは十分には理解されていませんでした。

マウスもまた利き手を持ち、特定の条件下で前肢を切り替えることが知られています。しかし、この切り替えが長期間持続するのか、またそのメカニズムについては未解明な部分が多いのです。そこで、研究チームはマウスに特定の訓練を実施しながら、アセチルコリンを介した脳機能の特性を探求しました。

研究の実施


研究チームは、マウスにスリットの先に置かれた餌を取りに行かせ、利き手を判定しました。その結果、利き手として右を使うマウスが約45.8%、左を使うものが54.2%確認されました。その後、5日間にわたって、利き手でない手を用いて餌を取得させる訓練を実施しました。訓練の終了後、約75%のマウスは非利き手を利用し続け、利き手の切り替えに成功しました。さらにこの変化は、少なくとも2週間持続したことも確認されました。

アセチルコリンの役割


利き手の切り替えがアセチルコリンに依存するかどうかを調べるため、研究チームは前脳基底部から運動野へのアセチルコリン投射に注目しました。手を使う際には、通常、同側の脳半球でアセチルコリンの投射が強くなりますが、研究により、反対側の脳半球における神経活動の重要性も確認されました。イムノトキシン法や光遺伝学的手法により、特定の神経活動を制御した結果、利き手の切り替えが妨げられることが確認され、アセチルコリンが切り替えに必要不可欠であることが示唆されました。

魅力的なデータ


さらに、GRABセンサーと光ファイバーを使用して、マウスの脳半球間のアセチルコリン活動の変化を計測しました。その結果、使用する前肢と対側の脳半球でアセチルコリンの活動に一時的な左右差が生じることが判明しました。この一時的な差が、脳の利き手の切り替えに非常に重要であることが確認されました。

今後の研究展開


本研究は、訓練による利き手の切り替えと脳半球間のアセチルコリン活動の関係を明らかにしましたが、まだ多くの疑問が残っており、今後はこの神経回路の詳細なメカニズムの解明が求められます。加えて、利き手の特性がどのように形成されるのかに関するさらなる研究も計画されているとのことです。この研究成果は、今後の神経科学や行動学、そしてリハビリテーションの分野における応用の可能性を切り開くものであると言えるでしょう。

この研究成果は、2026年7月24日付でCell Reports誌に掲載されました。利き手のメカニズムに関する深い理解は、今後の科学技術の発展に寄与することが期待されています。


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