日本初の家庭向けV2G/V2H実証が始動
2025年11月、家庭向けの電動車(EV)を活用したV2GおよびV2Hの実証プロジェクトが東京都内で始まります。このプロジェクトは、MCリテールエナジー株式会社、ニチコン株式会社、三菱自動車工業株式会社、Kaluza Ltd.及びKaluza Japan株式会社の5社が共同で取り組み、カーボンニュートラル社会の実現へ向けて新たな一歩を踏み出しています。
プロジェクトの背景と目的
この実証は、温室効果ガスの排出削減を目指す「GX(グリーントランスフォーメーション)関連産業創出へ向けた早期社会実装化支援事業」の一環として位置づけられています。家庭における電動車の充放電を最適化することで、安定した電力系統の実現と電動車オーナーへの利便性の向上を目指します。
再生可能エネルギーの導入が進む中、特に太陽光発電の発電量が日中に集中していることが課題となっています。また、多くの人が夕方に電動車充電を行うため、電力系統に負荷がかかってしまうのです。本プロジェクトでは、これらの課題を解決するために、電動車からの放電を行い、効率的なエネルギー利用を実現することが狙いです。
具体的な仕組みとは?
この実証では、電動車のバッテリー充電量をリアルタイムで把握し、充放電制御を行う仕組みが構築されます。具体的には、電動車オーナーはスマートフォンアプリを通じて充電の希望時間や充電量を設定し、それに基づいて充放電が自動的に調整されるというものです。
充放電のタイミングは、電力市場の価格に基づいて決定されます。価格が高い時間帯には電動車から家庭や電力系統へ電力を供給し、逆に価格の低い時間帯には電動車が充電される仕組みです。これにより、家庭の電気料金の削減と、電力市場全体の安定性向上が期待されます。
各社の役割と具体的な活動
このプロジェクトには、5社がそれぞれ異なる役割を持ち寄っています。MCリテールエナジーが提供する市場連動型電気料金プランは、充放電の経済的なメリットを最大化するための手段となります。ニチコンは充放電器の提供を担当し、三菱自動車は参加オーナーの募集並びに電動車のデータ分析を行います。
また、Kaluza及びKaluza Japanは、グローバルでいかされた充放電制御システムを開発し、アプリの提供も行います。このように、各社が連携することで、高度なシステムが実現され、家庭向けのV2G/V2Hシステムの実用化が期待されています。
実証の概要
実証プロジェクトは、2025年11月から2026年3月までの期間で展開されます。対象となるのは、東京電力パワーグリッド管内において、ニチコンのV2G/V2H充放電器を設置し、MCリテールエナジーの市場連動プランに参加する一般家庭の電動車オーナーです。
この取組みを通じて、電動車オーナーの体験を向上させ、さらなるエコな社会の実現に向けての道を開くことが期待されています。各社は本実証から得られる知見を基に、今後の展開に生かしていく方針です。
このように、家庭向けV2G/V2H実証は、カーボンニュートラル社会に向けた重要なステップ。これからの電動車の利用が、私たちの日常生活にどのような影響を与えるのか、大いに注目されます。