株式会社電通総研が発表した「D-TRAX」
最近、株式会社電通総研は、ソフトウェア定義車両(SDV)時代における自動車業界の企画・開発改革をサポートするためのフレームワーク「D-TRAX(ディー・トラックス)」を開発しました。このフレームワークは、企業が短期間で企画から実装、検証を行い、知見やノウハウを持続的に蓄積できる仕組みを提供します。「D-TRAX」のサービスは2026年6月9日から開始される予定です。
「D-TRAX」の背景と必要性
ここ数年、自動車業界は急速に変化しています。SDV化の進展に伴い、従来のハードウェア中心の開発から、ソフトウェアや顧客体験を重視する時代へとシフトしています。これにより、提供後も絶え間ないアップデートが求められるようになりました。さらに、生成AIなどの技術革新によって、企画や設計、検証のサイクルも短縮されています。
しかし、多くの企業は安全性や品質を優先し、計画を過度に固定化する開発文化が根付いています。これが原因で、顧客価値や体験の進化を迅速に遂げるためのプロセスが不十分になっています。これに対処するために、アジャイル手法やツールの導入が試みられていますが、従来のものづくりの枠組みでは効果が制限されています。
「D-TRAX」の構造と機能
「D-TRAX」は、短期的な企画開発と中長期的な探索活動を並行に進めることを可能にします。特に、二つの時間軸を設定して企画・開発プロセスを体系化しています。
- - 短期ループ(1~3か月):ここでは、成功や失敗ではなく、価値の仮説や検証履歴を積み上げます。失敗を心理的に安全に扱える環境を整えることで、学びを促進します。
- - 中長期ループ(半年~数年):社会や技術の変化を常に探索し、将来の価値を捉え続ける活動をサポートします。日常的な業務に埋もれがちな探索活動を持続する仕組みが求められています。
「D-TRAX」の特長
1.
価値の定義を仮説として扱う: 企画設計の更新を前提に、検証結果を次回の意思決定材料として活用します。
2.
短期と中長期の分離: 短期の成果が求められる活動と、将来の価値を見据えた探索活動を同じ評価尺度で混同せず、並行に進行させます。
3.
仮説・検証の標準化: 成功や失敗という観点ではなく、何を仮説とし、何を検証したかを組織知として蓄積することが重要です。
「D-TRAX」活用の展望
電通総研は「D-TRAX」を通じて、企業が製品やサービスのリリース後も価値を維持し続けられるよう支援していくことを目指しています。今後、顧客企業と連携しながらSDV時代に求められる開発体制の進化を促進する方針です。
この新たなフレームワーク「D-TRAX」が、自動車業界における革新を引き起こし、より多様で持続可能な価値提供につながることが期待されます。電通総研は、テクノロジーと人間の深い理解をもって、未来を切り拓いていきます。