兵庫県多可町での「ペポルインボイス」実証実験
株式会社TKCが兵庫県多可町と連携し、自治体におけるデジタルインボイス「ペポルインボイス」の活用を目指した実証実験を行いました。この実験では、請求書の受領から支払いまで、全てのプロセスがデジタルで完結することの効果を検証しました。
実験の目的と背景
「ペポルインボイス」とは、ペポルネットワークを通じてデジタル文書をやり取りするための国際的な標準仕様です。デジタル庁が日本版の標準仕様(JP PINT)を整備しており、日本国内でも利用が進んでいます。今回の実証実験は、地方公共団体におけるインボイスのデジタル化を促進するためのもので、効率的な内部事務の運営や業務の適正化を目指しています。
実証実験の概要
この実験は、2025年2月17日から3月21日までの期間にわたり、多可町の協力のもとに行われました。具体的には、以下の内容が検証されました。
1. ペポルインボイスを利用した請求書の受信
2. 請求書データの財務会計システムへの取り込み
3. 自動転記や電子決裁のプロセスの検証
4. 運用面での課題と解決策の検討
検証結果
実証実験の結果、ペポルインボイスは請求書処理のデジタル化に大きな効果を示しました。受信した請求書データは容易に財務会計システムに取り込まれ、自動で伝票の作成や決裁手続きが行われることが確認されました。これにより、バックオフィス業務の効率化が実践可能であることが明らかとなりました。
一方で、実務上の特有の課題として、請求書の宛名に首長名を記載する必要があることや、担当部署への振り分けが求められることが指摘されました。これらの課題についても、JP PINTの規定を活用することで対応が可能であるとの結論が得られました。
TKCの取り組みと今後の展望
TKCでは、今回の実験結果を踏まえ、財務会計システムの機能強化を図り、来春にはペポルインボイスに対応した新しいサービスの提供を予定しています。また、自治体向けの提案活動を強化し、ペポルインボイスの導入を進めることで、行政効率の向上と住民福祉の増進に貢献する計画です。
現在、日本国内では未だ紙の請求書を使用する自治体が多い中、デジタルインボイスの普及促進は大きな期待が寄せられています。政府も2024年の財政計画において地方公共団体に対しペポルインボイスの導入を要請しており、今後のデジタル化の流れは加速すると見込まれています。
まとめ
今回の実証実験は、ペポルインボイスが地方自治体においても業務の効率化とデジタル化を実現する可能性を示した重要なステップとなりました。TKCは引き続き、ペポルインボイスの導入を促進し、全ての自治体が利用できる体制を整えていく方針を示しています。今後の展開に注目が集まります。