ジョブ型雇用の現状と未来
近年、転職が一般的になりつつある日本において、ジョブ型雇用が注目されています。2022年の総務省「就業構造基本調査」によれば、日本の転職者数は1246万人に達し、2017年に比べ約19万人増加しています。この状況を受け、株式会社ジェイ エイ シー リクルートメント(以下JAC)は、ジョブ型雇用の現状を探るために「JACリサーチ」を設立し、初めての調査を実施しました。
調査の概要と目的
JACリサーチでは、中途採用を担当する権者600人と会社員1000人に対して「ジョブ型雇用の今」に関する質問を行いました。調査の目的は、大転職時代における転職意識や実態を明らかにし、今後の雇用や転職の流れに影響を与える情報を提供することです。
ジョブ型雇用への賛同と実態のギャップ
調査結果では、採用側の73.7%と人材側の63.8%がジョブ型雇用の普及に賛成であることが明らかになりました。しかし実態は十分に伴っていないと感じている人が多く、採用側の69.5%と人材側の67.0%が「号令だけで実態が伴っていない」と懸念を示しています。
ジョブ型雇用普及への障害
ジョブ型雇用が普及しない理由として、採用側は「採用や評価の制度を構築するのが難しい」と、22.8%が「従業員のスキルや成果を正しく評価できるか疑わしい」といった回答が挙がっています。一方、人材側からは「正しく評価されないのではないか」という懸念が29.6%と高い値を示しました。このような不安は特に40代に多く、スキルに対する自信のなさが影響しているようです。
コンサルタントの見解
JACのコンサルタントは、スキルの棚卸しの重要性を強調しています。特にキャリアに重きを置く40代の人材は、自分の専門性を客観的に評価できないために、ジョブ型雇用への不安が強まります。ポテンシャルが高い人も多いため、まずは自分の持つスキルの整理を行うことが勧められます。
また、評価制度の構築と運用には第三者の視点を取り入れることが解決策となると指摘されています。
まとめ
日本におけるジョブ型雇用は、賛成する人が多いものの、実態との乖離が大きいことが分かりました。今後は評価制度の適切な構築と運用が求められ、それがジョブ型雇用の普及に向けての重要な鍵となるでしょう。企業と個人が共に成長できるような環境が整えられることを期待します。
参考リンク