大日本印刷とUBEの新合弁会社、技術の融合で次世代分析を推進
大日本印刷株式会社(DNP)とUBE株式会社が、半導体関連および環境分野に特化した合弁会社「株式会社UBE科学分析センター(USAL)」を設立します。これにより、両社の強みである素材分析技術と加工技術を結集させ、新たな価値を創造しようとしています。2024年4月からの運営が始まるこの会社は、特に市場の成長が期待される二つの分野において分析・解析機能を強化することを目指しています。
半導体関連の強化
USALは、ナノメートル単位での構造解析における実績を踏まえ、半導体デバイスの評価を行うための新しい装置を導入しました。この装置を通じて、燃料電池材料の微細構造とその性能向上の関係を明らかにするための研究を進め、集積回路(LSI)の微細化や複雑な三次元構造への応用を目指しています。
さらに、半導体製造に不可欠なめっき液やフォトレジストなどの材料分析に関して、USALはソリューション型のビジネスモデルを展開する予定です。これにより、クライアントに対して宿題を解決するための豊富な情報と支援を提供し、競争力を高めていきます。
環境分野の取り組み
持続可能な社会の実現に向けた次のステップとして、USALは環境分野への分析サービスを強化します。具体的には、リサイクル素材の品質向上やカーボンニュートラルの実現を目指すカーボンリサイクル技術に重点を置きます。
特にリサイクル素材では、分子レベルの解析を通じて、品質のバラツキや性能劣化の原因を究明し、ユーザーがより広範囲で適切に素材を活用できるよう支援します。
カーボンニュートラルを目指す取り組みでは、大気中からのCO2の分離・回収技術を対象に、基礎的な評価を行う予定です。これにより、さまざまな環境条件における素材の性質を把握し、実用化のためのデータを提供していきます。
新社名と今後の展開
合弁会社は2025年4月1日に「株式会社DNP科学分析センター」として社名を変更します。これに伴い、広範な素材開発から加工、製品化までカバーするサービス提供が期待されます。
DNP科学分析センターは、1987年からの歴史を持つ分析評価グループを基にしており、有機・無機材料の組成分析、構造解析、表面分析など、様々な業界において幅広いサービスを展開しています。今後は、自動車、エレクトロニクス、ライフサイエンスなど、ますます多様な市場での提供に向け、さらなる技術革新を進めていきます。
まとめ
大日本印刷とUBEの協業により形成されるUSALは、次世代の半導体技術や環境分析において、新たな価値の創造を目指します。この取り組みは、持続可能な未来を築くために不可欠な一歩となるでしょう。