大経大生のまちづくりへの挑戦
大阪市城東区の蒲生4丁目、通称「がもよん」と呼ばれるエリアで、経済学部の臼田准教授のゼミ生たちがまちづくりの実習に力を入れてきました。2024年9月から約5カ月間にわたり、学生たちは地域の活性化に貢献するためのフィールドワークを行い、2025年3月13日にその報告を目的とした座談会が開かれました。
座談会には、ゼミ生の代表として西岡紀乃さん、嶺山千尋さん、藤井詩織さんが参加し、実習の内容や気づきを共有しました。さらに、「がもよんにぎわいプロジェクト」の推進スタッフ、宇田知令氏も参加し、多角的な意見やフィードバックが交わされました。
「がもよんにぎわいプロジェクト」とは?
「がもよん」エリアには、築100年を超える古民家や長屋が数多く残っており、地域の伝統的な景観を保ちながら、飲食店や店舗への再生が進められています。この取り組みは2008年に始まり、以降40店舗以上が新しい姿を見せてきました。このプロジェクトは、地域の賑わいを生み出すことを目指し、学生たちの活動とも連携して進められています。
実習のテーマと課題
臼田准教授は、ゼミ生に2つのテーマを掲げました。テーマ①では「どのような店舗を誘致すれば『がもよん』がもっと賑わうか」を考えること、テーマ②では「来街者の声を聞くためのアンケート調査」を行うことが求められました。
西岡さんのチームは、街を訪れた際に大人向けの店舗が多く、子供向けの店が少ない状況を確認。そこで、ファミリー層をターゲットに駄菓子屋やファミリーレストランを誘致する提案を行いました。藤井さんの班は、若者向けの古着屋や観光客向けの着物レンタルなど、多様な店舗のアイデアを出し合いました。
また、嶺山さんの班は、食のイベント「がもよんジビエフェスタ2025」においてQRコードを用いたWebアンケートを実施。料理やイベントに対する満足度、属性などのデータを収集しました。
学びと気づき
振り返りでは、学生たちが現地を視察した際の感想やアンケート結果の分析が行われました。初めは壊れたイメージを持っていた西岡さんも、実際に訪れてみると明るく落ち着いた街並みに印象が変わったとのこと。彼女が提案した駄菓子屋は、カフェや居酒屋も併設することで持続可能なビジネスになり得ると確信したそうです。
藤井さんも、歴史的な雰囲気を持つ古民家を活かした店舗案に興味を示し、トレンドに敏感な若者向けの雑貨屋などの可能性を考えました。一方、嶺山さんは20人のアンケートを集計し、SNSによる宣伝の重要性に気づきました。
地域のつながりの大切さ
宇田氏は、アンケート結果から導入された新しいアイデアに期待を寄せ、「『土間シネマ』のように、住民が集まる場を創出することも重要」と述べました。また、地域の店舗とイベントが連携することで、一体感をもたらすことができるとの考えを示しました。
このプロジェクトは、単なる店舗誘致にとどまらず、地域社会そのものの活性化を図るものです。デザインや店舗の選定、地域の特性を生かしたまちづくりには、多くの考慮が必要です。
まとめ
臼田准教授は、建物の状態や街の雰囲気、住民の温かさは、実際に足を運んで初めて実感できるものであると指摘。学生たちが地域活性化プロジェクトに参加できたことは、今後の社会活動にも役立つ貴重な経験だと締めくくりました。学生たちにとって、これからの地域づくりへの参加が期待されることでしょう。