新出光不動産とDeepForest社による新たな試み
2023年、業界に新風を巻き起こすプロジェクトがスタートしました。新出光不動産株式会社が、新たに取得した社有林を活用し、DeepForest Technologies株式会社と共に、ドローン技術を利用したJクレジット創出プロジェクトを開始しました。このプロジェクトは、森林の持つ二酸化炭素吸収能力を可視化し、その社会的な価値をクレジットへと変換することを目的としています。
プロジェクトの概要
具体的には、熊本県八代市にある新出光不動産の社有林約49.3haを対象に、レーザドローンによる高精度な測定が行われました。この技術を駆使し、単木ごとの樹種や樹高、材積量を詳細に解析した結果が、プロジェクトの核となっています。解析結果により、スギやヒノキなどの人工林が多くを占めていることが判明し、環境価値の定量化が可能となりました。
このプロジェクトは2024年9月から2034年3月までの期間に実施され、総体で約1401.7トンのCO₂クレジットを創出する見込みです。これにより、新出光不動産は環境保全に貢献しつつ、その活動に伴うカーボンオフセットを自社内で実施できるようになります。
プロジェクトの経緯
この新たな取り組みの背景には、2020年の豪雨災害がありました。豪雨により社有林の状態把握が困難となったため、新出光不動産は京都大学大学院の小野田教授と連携し、レーザドローンによる全域計測を行いました。この計測によって、森林の詳細なデータが収集され、持続可能な森林経営のための計画が進められました。
Jクレジット創出への道
得られたデータは、Jクレジット制度における地位特定にも利用されます。地位とは、その土地がどの程度二酸化炭素を吸収する能力があるかを示す指標であり、これにより樹種・林齢とともに年間のCO₂吸収量が計算されます。新出光不動産は、今後この技術を利用し、更なる環境保全活動を進めていく意向を示しています。
未来への展望
DeepForest社の解析技術により、Jクレジット創出の可能性は広がります。今後は熊本県内の森林組合と連携しながら、森林の保全や有効活用に向けた活動を一層推進していく計画です。このような協力体制により、地域の森林資源が保護され、持続可能な社会の実現に寄与できることが期待されています。
さらに、新出光不動産の担当者は、これは単なるビジネスではなく、森林の保全活動が直接的に社会に還元される重要な取り組みであると強調します。今後の進展が注目されるこのプロジェクト、持続可能な未来を切り開いていく一助となることでしょう。