アートで織りなす多様性:『日本財団 DIVERSITY in the ARTS~MAZEKOZEプロローグ~』
日本のアートシーンに新たな息吹をもたらすイベント『日本財団DIVERSITY in the ARTS~MAZEKOZEプロローグ~』が、東京都内で開催されます。本展は、障がいを持つ多様な作家たちの作品を集めたもので、障がい者アートと呼ばれるジャンルには収まらない、彼らの独特な表現を通じて新たなインクルーシブな社会の実現を目指しています。
展覧会の背景と目的
近年、障がいを持つアーティストの作品が注目を浴びており、アール・ブリュットやアウトサイダーアートという呼称で多数の展覧会が開かれています。しかし、今回の『MAZEKOZEプロローグ』は、これまでにない観点からの展示となります。主催の日本財団は、2017年度から障がい者の多様な芸術文化を推進するプロジェクト「DIVERSITY in the ARTS」を展開しており、その一環としてこのイベントが企画されました。
この展覧会の目的は、アートを通じて多くの人々に参加してもらい、さらなるコミュニケーションや新しい創作の担い手を生み出すことです。キュレーターを務めるのは、障がい者アートのプロジェクトを手がけている東ちづるさん(女優・Get in touch代表)と美術家の中津川浩章さんの二人です。
展示内容と注目の作品
本展には、国内外で高く評価されているさまざまな作品がお目見えします。展示される作品は約60点におよび、特に障がい者アートの世界を切り開いてきた福祉施設からの作品が集められているのが特徴です。多くの作家が精神障害、発達障害、知的障害などの特性を持ちながらも、専門的な美術教育は受けていないため、彼らのアートには独自の自由な表現が込められています。
出展作家には、例えば岩手県出身の八重樫道代さん。彼女は、水性ブラシマーカーを使用して鮮やかな色彩と大胆な構成の作品を生み出しました。また、兵庫県在住の舛次崇さんは、描くモチーフを自在に変容させながら、スリリングなドラマを描写し、2008年にはアールブリュットコレクションに作品が所蔵されています。
「多様性」と「特性」を理解する機会
『MAZEKOZEプロローグ』の展示を通じて、障がい者たちの「特性」や「個性」の豊かさに触れることができます。一般に「障がい」という言葉で一括りにはできない多様性を知ることで、“良いものは良い”という感覚が広がり、多様性を尊重し合う「まぜこぜの社会」の実現につながることを期待しています。
開催概要
展覧会は、以下の日程で開催されます。
- 3月3日(金)~5日(日)/COREDO室町 江戸桜通り地下歩道
- 3月6日(月)~8日(水)/大手町タワーOOTEMORIB2プラザ
- - 観覧料:無料
- - 主催:日本財団、一般社団法人Get in touchなど。
多様性の理解が深まり、新しい形のアートとの出会いがあるこのイベントを、ぜひお楽しみください。