乳がん検診後の情報提供を強化する新プロジェクト始動
乳がん治療は近年、啓発活動や医療技術の向上により多くの方々に知られるようになりましたが、それでも多くの患者は治療過程で様々な情報を必要としています。特に乳がん検診後、診断を受ける患者が求める次のステップに関する情報は十分とは言えません。このたび、NPO法人エンパワリング ブレストキャンサー(E-BeC)が発表した「クローズドリボンプロジェクト」を通じて、この情報提供の改善に取り組むことが明らかになりました。
プロジェクトの概要
E-BeCは、乳がん検診から乳房再建手術までの流れを分かりやすくする啓発活動「クローズドリボンプロジェクト」をスタートします。2025年9月1日から配布が始まる「乳がん検診・乳房再建啓発フライヤー」を通じて、全国の協力企業を介して乳がん患者および一般の方々に情報を届ける予定です。このフライヤーはA4サイズの両面カラー仕様で、片面が乳がん検診の内容、もう片面が乳房再建手術に関する情報を含んでいます。
乳がんに関する現状
過去10年にわたるE-BeCの調査によると、日本国内の乳房再建手術に関する情報は非常に乏しく、多くの患者が選択肢を知らないという現実があります。日本乳癌学会のデータによれば、乳がん全摘出後の乳房再建率はわずか13%にとどまり、その割合には地域差も存在しています。これには「手術が存在することさえ知らなかった」、「保険適用だと知らなかった」という声が多数寄せられており、患者が情報を得られていない現状が浮き彫りになっています。
クローズドリボンプロジェクトの意義
クローズドリボンプロジェクトは、こうした情報不足を解消するために設計されました。E-BeCの理事長、真水美佳氏は「乳がん検診は多くの方に受けてもらえるようになったが、診断後に必要な情報が行き届かないことが多い」と述べています。今後、患者がリアルタイムで必要な情報にアクセスし、自分にとって最適な治療を選択するための支援が求められています。
フライヤー配布の詳細
この啓発フライヤーは、2025年に全国約8万部を配布する予定で、各種団体や企業を通じて患者に届けられることになります。具体的には、SBI損害保険や株式会社千趣会、デパート健康保険組合などがその配布先となります。また、アッヴィ合同会社アラガン・エステティックスがこのプロジェクトを後援しており、信頼できる情報源としての位置づけがなされています。
結論
E-BeCの「クローズドリボンプロジェクト」は、乳がん治療を受ける全ての患者に必要な情報を提供することを目指しています。乳がんの検診や再建手術についての正しい理解が広がることで、患者が一歩前に踏み出すためのサポートをすることが期待されます。今後の活動を見守りつつ、一人でも多くの患者が必要な情報にアクセスできるよう願いたいと思います。