日本ケミコン、業界初の液浸冷却対応コンデンサを開発
冷却技術への挑戦
日本ケミコン株式会社が、サーバー冷却技術の革新を実現しました。東京都品川区を拠点とする同社は、冷媒に浸漬する新たな冷却方式、液浸冷却に対応したアルミ電解コンデンサの開発に成功し、サンプル供給を開始しました。これは、業界初の試みであり、近年注目を集める生成AI技術やDX推進、そして自動運転車向けのインフラ整備の進展を背景としたものです。
データセンターのエネルギー消費問題
データセンターは、今後ますます拡大する見込みで、特にAIサーバーにおいては、CPU/GPUの進化が急務です。しかし、これに伴う発熱と電力消費の増加は、データセンター全体のエネルギー消費量を押し上げており、環境への影響が懸念されています。各国が進めるカーボンニュートラルの取り組みの中で、持続可能な冷却方法の必要性が高まっています。
液浸冷却のメリット
一般的なクラウドデータセンターのサーバーラックの消費電力が最大10kW程度なのに対し、高性能計算(HPC)用サーバーでは20kWを超え、場合によっては100kWに達することもあります。従来の空冷方式ではこれに対応しきれず、冷却方式の見直しが急務です。具体的には、コールドプレート方式にも限界が見え始めており、液浸冷却が理想的とされています。
日本ケミコンの革新技術
日本ケミコンは、特殊な封口ゴムを自社開発し、液浸冷却に適応できる気密性を実現しました。冷媒に浸漬した後でも変質しない性能が確認されており、従来品では見られなかった重量変化も報告されていません。この技術革新により、AIサーバーや自動車向けの部品としての実用性が確保されています。
今後の展望と市場のニーズ
2025年には量産が開始される予定で、既に一部のデータセンター関連ユーザーにおいて評価済みです。液浸冷却の採用が進めば、この技術が従来の冷却手法に取って代わる可能性があります。さらに、この技術が産業機器や車載市場でも評価されることが期待されています。
結論
アルミ電解コンデンサは、データセンターの効率化に寄与する重要な要素です。日本ケミコンが開発した新しい液浸冷却対応コンデンサは、次世代データセンターの冷却課題を解決に導くひとつの鍵となるでしょう。環境問題の解決を目指し、今後も技術の進化に期待が高まっています。