サントリーウエルネスがW/O/W製剤の浸透プロセスを可視化
サントリーウエルネス株式会社の生命科学研究所が発表した画期的な研究結果は、化粧品業界の新たな一歩を示しています。2025年9月17日(水)、フランス・カンヌで開催される「IFSCC 2025 congress」において、W/O/W(Water in Oil in Water)製剤の皮膚への浸透プロセスを可視化するという、世界で初めての成功を収めたことが発表されます。
研究の背景と目的
W/O/W製剤は、内水相、油相、外水相の3層で構成された乳化物であり、様々なスキンケア商品に利用されています。しかし、これまでこの製剤の皮膚への浸透に関する詳細なメカニズムは解明されていませんでした。サントリーウエルネスは、長時間にわたり乳化物がどのように皮膚に浸透するのかを可視化することで、これまでの研究では得られなかった新たな知見を得ることを目指しました。
研究方法
実験には、美容外科手術によって摘出されたヒトの皮膚を用い、3種類の乳化物をそれぞれ塗布しました。その後、共焦点ラマン顕微鏡を使用して、皮膚の断面を観察しました。ラマン顕微鏡は、物質の分子構造を特定するための優れた手法であり、今回の研究ではその特性を最大限に活用しました。
観察結果
観察の結果、各種乳化物はそれぞれ異なる浸透特性を持つことが明らかになりました。具体的には、以下のような結果が得られました。
- - O/W製剤: 水相が全体に広がりつつ浸透しますが、油相は皮膚の上で点在し、滞留します。
- - W/O製剤: 油相は時間と共に皮膚に浸透しますが、水相は表面に滞留し、ゆっくりと浸透していきます。
- - W/O/W製剤: 外側の水相は早く浸透し、内側の水相はゆっくりと浸透します。さらに、油相は皮膚表面を覆う保護膜を形成する様子が観察されました。
研究の意義
この研究は、乳化物がヒトの皮膚に対してどのように変化し、浸透するのかを視覚的に示すことに成功しました。今後、この知見を基に肌悩みに合った製剤や、より優れた使用感を持つスキンケア商品の開発に繋がる可能性があります。サントリーウエルネスは、健康と美容を追求しながら、今後も新たなW/O/W製剤の研究開発に力を入れていく方針です。
結論
スキンケア分野において、新たな技術の開発は常に求められています。サントリーウエルネスの取り組みは、業界全体にインパクトを与える可能性を秘めた重要な研究成果です。この成果がどのように実用化され、私たちの生活に影響を与えていくのか、今後の展開が楽しみです。