ユニセフが示す暴力の実態、世界中の子どもが直面する危険
2025年11月26日、ニューヨークで発表されたユニセフの新たな調査データは、世界の子どもたちが直面している厳しい現実を浮き彫りにしています。このデータは、特にオセアニア、サハラ以南のアフリカ、中央アジア、南アジアにおいて、過去1年間に親密なパートナーから身体的・心理的・性的な虐待を受けている母親と生活している子どもたちが多いことを示しています。これにより、女性に対する不平等と虐待が世界的に広がっている傾向が明らかになりました。
調査の概要とその意義
ユニセフが発表した「家庭内における子どもへの暴力に関するデータ概要」によると、実に4人に1人、つまり約6億1,000万人の子どもが、虐待を受ける母親と共に暮らしています。ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルは、「暴力が日常の一部となっている家庭に多くの女性と子どもが住んでいる」と警告しています。女性が安全で自由に生活できることは、子どもたちの幸福にとって不可欠なのです。
この調査は、地域別に女性と子供への暴力リスクが高い場所を特定しました。たとえば、オセアニア地域では、約300万人の子どもが過去1年間にパートナーからの暴力を受けた母親と共に生活しています。この割合は51%に達し、他の地域に比べて圧倒的に高い数字です。
次に高いのはサハラ以南のアフリカで、32%、および中央・南アジアが29%となっています。また、北アフリカや西アジアでは26%、ラテンアメリカやカリブ海諸国では19%、東アジアや東南アジアは21%、そして欧州・北米は13%の子どもたちが、暴力的な環境で生活しています。
暴力がもたらす健康への影響
調査によると、暴力は女性自身の健康やウェルビーイングを損ねるだけでなく、その子どもたちの安心感や学びにも重大な影響を与えます。暴力を受ける家庭で育つ子どもは、身体的・心理的な虐待の可能性が高く、その結果、成人になった後も暴力の連鎖に巻き込まれるリスクが増すことが示されています。
実際、法的保護と心理的支援の下で安全な環境に置かれているファブリオナちゃん(4歳)は、父親からの暴力を経験しました。彼女の事例は、暴力がどのように子どもたちの心に傷を残すかを物語っています。
ユニセフの呼びかけ
ユニセフは各国政府および関係者に対し、女性や子どもへの暴力を撲滅するための実行可能な取り組みの投資を求めています。その中には、暴力を受けた人への支援サービスの拡充や、子育て支援、ジェンダー平等や非暴力を促進する教育プログラムへの資金投入が含まれています。これらの取り組みは、子どもたちが安全に育つために不可欠な要素です。
結論
ユニセフが示したこの新たなデータは、全世界の子どもたちが直面する暴力の実態を顕在化させました。これらの問題は一国の内にとどまらず、国際社会全体で解決に向けた行動を求めています。安全な家庭環境は、子どもたちの健全な成長に欠かせないものであり、それを実現するために、私たち一人ひとりが持続的な取り組みを行うことが求められています。