製造業のサプライチェーンリスク調査の背景
キャディ株式会社が2026年に行った調査は、製造業に従事する196名を対象に、特に東南アジアとのサプライチェーンにおけるリスクの実態を把握するために実施されました。政府が発表した総額約1.6兆円規模の「パワー・アジア」枠組みの背景には中東エネルギー危機があり、製造業にとってサプライチェーンのリスクを正確に捉えることが求められています。
調査実施の経緯
政府の方針が発表されてから約2ヶ月が経過し、製造業の現場にどのような影響が出ているのかを調査することが緊急の課題となっています。調査の結果、製造業界では情報伝達が不十分であることが明らかになりました。
認知度とリスクの実感
調査から、パワー・アジアについて「ほとんど知らない」または「全く知らない」と回答した企業は79.1%に達しており、実質的にこの枠組みの内容を充分に理解している企業はわずか2.6%という結果でした。政府の取り組みと実際の現場には大きな情報の乖離が存在することが分かります。
また、サプライチェーンへの影響を実感している企業は約30%であり、その中でも68.3%がデータでの把握ができていないと回答しています。この結果は、多くの企業がリスクを認識している一方で、効果的な対策を講じるためのデータが不足している現状を示しています。
データ格差の問題
具体的には、サプライチェーンの影響が出ていると回答した企業において、データでリスクを把握できている企業はわずか16.1%に過ぎません。これに対して、リスクを認識しているが実際には把握できていない企業が約70%を占めています。この状況は、意思決定の遅れを引き起こし、経営に対する深刻なリスクとなります。
主な影響として挙げられたのは、エネルギーコスト上昇による拠点のコスト増加が25.5%で最も多く、次いで生産の不安定化(19.9%)、調達の遅延(15.3%)が続きます。
十分な対応力がない企業の実態
調査結果から、実際に十分な対応体制が整っていると回答した企業は僅か6.6%で、多くの企業が何らかの対応の必要性を認識しているものの、具体的に何をすべきか分からない状態にあることが明らかになりました。このような状態が続くことは、競争力の低下を引き起こす要因となり得ます。
まとめ
本調査結果は、製造業が直面している構造的な問題を改めて浮き彫りにしました。政府が打ち出した「パワー・アジア」に伴い、製造業界が新たなチャンスを迎える一方で、データを持たずにリスクを把握できていない企業との間には、大きな情報格差が生じています。今こそデータの活用が必要かつ急務であると言えるでしょう。 企業は早急にデータを整備し、自社のサプライチェーンを適切に管理・対応する体制を築くことが求められています。