英国ロンドンでの日系企業初の木造オフィス開発
住友林業株式会社と芙蓉総合リース株式会社が共同で進める「GoldenLaneプロジェクト」は、日系企業として初めての木造増改築によるオフィス開発です。このプロジェクトは、ロンドンの中心部に位置する1900年代初頭に建設された5階建のオフィスビルを改修し、環境性能の向上を図ることを目的としています。
プロジェクトの概要
新たなオフィスビルでは、1階から4階については現存する構造を活かしつつ内装を改修し、環境性能を高める工事を行います。一方で、5階と6階は新たに木造で増築され、従来のオフィスのテナント面積を増加させる形となります。この取り組みにより、賃貸可能面積のアップと共に、ライフサイクル全体におけるCO2の排出量を大幅に削減することを目指しています。
総事業費は約22.8百万GBP、着工は2024年12月を予定しており、2026年1月には完成予定です。
環境配慮型開発の特徴
本プロジェクトの最大の特徴は、既存の鉄骨構造を解体せずにそのまま活用する点です。これにより、従来の解体・再建築や鉄骨での増改築と比べて、全体的なCO2排出量を大きく削減できると見込まれています。また、地域の景観を保護しながら、廃棄物の削減にもつながります。木造はその軽量性により、既存の構造の補強を最小限に抑えつつ、工期の短縮も可能です。
CO2排出量の見える化
住友林業では、CO2排出量を可視化するソフトウェア「One Click LCA」を通じ、プロジェクトに関連する全ての資源の製造や輸送、建設から廃棄までのCO2排出量を試算しています。その結果、オフィスビルの新築に比べて約60%も削減できるとされています。また、増築部分では約220トン相当のCO2を固定する見込みです。
建物の運用によるCO2削減
エネルギー消費や水利用といった運用面においても、エネルギー効率の高い設備を用いることでCO2排出量の削減を図ります。計画では、EPCレートの向上を目指し、環境認証BREEAMでもExcellent判定を目指しています。
英国における環境への影響
イギリス政府は、2050年までに温室効果ガスの排出量をカーボンニュートラルとする目標を掲げています。このため、オペレーショナルカーボンを削減することが非常に重要です。現在、ロンドンでは環境基準を満たすオフィススペースが不足しており、このプロジェクトは大きな期待を寄せられています。
交通アクセスの良さ
物件は、交通の便が良く、ファリンドン駅やバービカン駅、オールドストリート駅などから徒歩約6〜10分の距離にあります。バス停も近く、周辺には数多くの建築事務所やショールームが集まっています。
住友林業と芙蓉リースの展望
住友林業は「Mission TREEING 2030」に基づき、木材を活用した事業をグローバルに展開しています。今回のプロジェクトもその一環であり、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを加速しています。同様に、芙蓉リースも社内の中期経営計画「Fuyo Shared Value 2026」を通じて社会的課題の解決を進めています。今後は、環境に配慮した不動産開発を進めつつ、持続可能な成長を目指していきます。
まとめ
GoldenLaneプロジェクトは、木造のオフィス開発に新しい風を吹き込む試みです。環境への配慮とともに、収益性の向上を図る要素を併せ持つこの取り組みは、ロンドンの不動産市場さらには世界各国においても注目されるでしょう。