「喫茶Sunny」:認知症の“支えられる人”に焦点を当てた演劇公演が追手門学院大学で開催
「認知症」をテーマに、“支えられる人”を考える演劇公演「喫茶Sunny」が、追手門学院大学舞台表現プロジェクトSTEP第14回公演として、2024年12月6日から8日に開催されます。
この公演は、認知症の祖父を持つ学生が自身の体験をもとに制作したもので、認知症の“支える人”と“支えられる人”の心の交流を描きます。舞台は、認知症を患う主人公「朝陽」が経営する音楽喫茶。そこで働く妻や常連客との会話を通して、認知症という病気に向き合い、共に歩んでいく姿を丁寧に表現します。
脚本を担当した林愛夏さん(社会学部3年)は、認知症の祖父との思い出を音楽というキーワードで振り返りながら脚本を執筆したと語っています。祖父が花火を見ながら昔流行った曲を歌っていた姿に感銘を受け、音楽を通じて祖父との絆を再確認したことが、脚本制作の原点となっています。
近年は「介護疲れ」など、認知症の介護をする“支える人”に焦点を当てた作品が多いですが、「喫茶Sunny」では、認知症を患う“支えられる人”の視点に焦点を当て、40歳から56歳までの16年間で変化する主人公の心情を表現します。
林さんは、大阪市が主催する認知症サポーター養成講座などに参加し、様々な病気や障害を抱える人への理解を深めました。「認知症を患っている人は特別ではなく、私たちと同じ“人”である」という考えを、作品を通して伝えたいと考えています。
公演は追手門学院大学茨木安威キャンパスで開催されるほか、12月21日には大阪市立総合医療センターの小児・AYA世代(19~30代前半)の患者の方に向けた特別公演も予定されています。
認知症への理解を深める機会に
「喫茶Sunny」は、認知症という身近でありながらも、多くの人が深く知らなかったりする社会問題を、演劇という表現を通して分かりやすく伝える作品となっています。
認知症は、本人だけでなく、家族や周りの人にも大きな影響を与える病気です。この演劇を通して、認知症について理解を深め、共に生きる社会について考えるきっかけとなることを期待しています。