腸内環境と美容をつなぐ発酵性食物繊維の研究成果

腸内環境を整えることが、美容や睡眠に与える影響について新たな研究が明らかになりました。一般社団法人発酵性食物繊維普及プロジェクトは、腸からはじまるウェルビーイングを目指して、多くの情報を発信しています。

今回の研究は、株式会社ミツカン、摂南大学、京都府立大学との共同で行われ、健康な成人を対象に発酵性食物繊維の効果が探求されました。この研究の結果、腸内細菌叢や生活の質に良い影響を与えることが分かり、さらには睡眠や肌の状態との関連性も示されています。この成果は国際学術誌「Microorganisms」に掲載され、興味深いデータが報告されています。

研究の背景と目的

近年、食物繊維は腸内細菌を介した健康維持の重要性が認識されるようになり、特に発酵性食物繊維の存在が注目されています。これらの繊維は大腸で分解される際に有益な代謝産物を生成し、腸内環境を改善することが期待されています。研究チームは、食物繊維が腸内環境や全体的な健康への影響を評価することを目指しました。

研究方法

本研究は、20歳から50歳の健康な成人105名を対象に無作為化二重盲検プラセボ対照試験が行われました。研究では、参加者は低摂取（平均2.2g）と高摂取（平均8.2g）の二つのグループに分かれ、4週間の摂取期間中に様々な評価が行われました。腸内細菌叢や排便関連の生活の質、睡眠・肌の状態について細心の注意を払って調査しました。

研究結果

1. 排便関連QOLの改善
低および高摂取グループ共に、2週間後のJPAC-QOLスコアが有意に改善し、4週間後には排便のあった日数が増加しました。

2. 肌に関する変化
特に高摂取グループは、2週間および4週間の摂取で肌の透明性が改善されたと自報告しました。

3. 腸内細菌叢の変化
ビフィズス菌や特定の有用菌が増加し、その占有率が他の善玉菌と正の相関を示しました。

4. 睡眠と肌の相関
有益菌の占有率は、睡眠の質や肌の状態に良い影響を与えることが確認され、腸と脳、肌をつなぐ健康価値の可能性が示されました。

5. 摂取量による効果の違い
日常の食事からの食物繊維量によって効果に差が出ることが明らかにされ、特に少ない人は少量でも効果が見られ、高摂取の人はさらなる改善が観察されました。