AIで進化するプラントエンジニアリング
株式会社EggAI(代表取締役CEO:中島柚斗)と三菱化工機株式会社(代表者:田中 利一)は、共同でプラントエンジニアリング業界向けのAI設計自動化システムの開発を開始することを発表しました。これは、生成AI技術を活用して、作業負担を軽減し、効率を飛躍的に向上させることを目的としています。
1. 開発の背景
プラントエンジニアリング業界は国内市場で約4兆円の規模を誇る一大産業ですが、急速な人材不足や技術継承といった深刻な課題に直面しています。設計や建設には数百種類の機器や数万本の配管が必要とされ、その過程で多くの書類を作成しなければなりません。従来は熟練技術者が多くの時間をかけ、手作業でこれらの資料を準備していましたが、このプロセスをAIが代替することで、業界全体の効率を高めることが期待されています。
三菱化工機では、業務の効率化と、業務のルールそのものの変革が必要との認識を持ち、EggAIとの協同による生成AIの導入を進めることになりました。これにより業務の変革を図り、持続可能な成長へとつなげていくことを目指しています。
2. 提供されるシステムの機能
新システムの重要な機能は以下の通りです:
- - 書類のAI読み取り:AIが顧客の要求仕様書を迅速に整理し、必要な情報を抽出。
- - 自動作成機能:設計図書、購入仕様書、各種リストなど、必要な書類を自動生成。
- - 多様な書類の作成:契約仕様書や基本設計図書など、さまざまな種類のドキュメントを作成可能。
これにより、設計プロセスは従来の複数の手作業から、AIを活用した自動化へとシフトし、時間とリソースの大幅な節約が実現されます。
3. 期待される効果
3.1 スピードアップ
従来、熟練技術者が2〜3週間かかっていた設計図書作成が、AIを利用することで数時間から数日で完了する見込みです。これは、手書きをタイピングに置き換えるような劇的な変化です。
3.2 人材の有効活用
書類作成に費やされていた時間が短縮され、熟練技術者はより付加価値の高い業務に集中することができます。デジタル化された情報を活用して新人技術者の育成にも役立つでしょう。
3.3 品質の均一性
AIによって文書が作成されることで、担当者による品質のバラつきが無くなり、常に一定のクオリティを維持できます。顧客満足度の向上も期待されます。
3.4 技術継承の強化
熟練者の知識をデジタル化して保存することで、退職による技術の喪失を防ぎます。これにより、新人の技術者もスムーズにスキルを向上させられます。
3.5 経営へのインパクト
コストの削減が見込まれ、業務の効率化により案件の受注拡大にもつながるでしょう。
4. 両社のコメント
EggAIの中島 CEOは「プラントエンジニアリング業界は日本の根幹を支える分野であり、三菱化工機様との協業を通じてDX推進に寄与できることが誇りです」と述べています。3菱化工機の中島本部長は「生成AI技術の導入により、整備された設計自動化システムを構築したい」と期待を寄せました。
5. 企業紹介
EggAIは東京大学での研究開発を基にしたAIソリューションを提供しているスタートアップ企業です。三菱化工機は、プラント・環境設備のエンジニアリングや機械製作に特化したグループで、さまざまな分野にわたり社会の発展に寄与しています。
この新たなシステムは、プラント設計の未来を開く重要な一歩となるでしょう。