中国のSF最高賞を受賞
砂川雨路による小説『私たちは25歳で死んでしまう』の簡体字版が、第36回銀河賞のベスト輸入作品賞に輝きました。この作品は、2022年に小学館文庫から刊行されたもので、異常な未来社会を描いています。
銀河賞の概要
銀河賞は中国のSF界で権威ある賞であり、四川科幻世界雑誌社が主催しています。この賞は1985年に創設され、その歴史は長く、中国のSFの発展に寄与してきました。受賞作品は、中国の主要なSF作家とその名作とともに広く知られるようになり、今や「中国のSF最高賞」としての地位を確立しています。
この度の授賞式は、2025年9月19日に四川省成都市で行われ、砂川の作品が晴れて受賞したと発表されました。タイトルは『如果我们将在25岁死去』と翻訳され、丁丁虫が翻訳を手掛けています。
作品のあらすじ
『私たちは25歳で死んでしまう』は、未知の細菌による毒素が蔓延した未来の物語を舞台にしています。その影響で人類の平均寿命は25歳にまで短縮され、急激な人口減少が続いています。この課題に政府は取り組むものの、就労や結婚の自由が大幅に制限され、国民は指定された相手と結婚し、できるだけ多くの子供を持つことが強いられる社会が描かれています。
作中では、結婚が義務化された社会での人々の葛藤が色濃く表現されており、特に注目されるのが「別れても嫌な人」という短編です。この物語は、結婚しながらも苦しむ夫婦の様子を描いています。また、「カナンの初恋」では、子供を作らない選択をした夫婦の複雑な感情が浮き彫りにされています。こうした短編を通して、異常が日常的に存在する世界で生きる6人の女性たちの物語が展開されていきます。
書籍情報
この作品は、日本語版として小学館文庫からも発行されています。
- - タイトル: 私たちは25歳で死んでしまう
- - 著者: 砂川雨路
- - 定価: 748円(税込)
- - 文庫判: 304頁
- - 発売日: 2022年9月6日
- - ISBN: 978-4-09-407176-4
詳しくは
こちらでご覧いただけます。受賞を機に、この作品が多くの読者に届くことを願っています。これからのSF文学の流れを感じさせる一冊として、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。