ISO認証の返上とその影響
近年、ISO認証を取得した企業の中で、様々な理由から返上するケースが増加しています。その実態を探るため、NSSスマートコンサルティング株式会社が実施した調査結果を元に、返上に至る背景やその後の影響について詳しく見ていきます。
調査概要
この調査は、ISO認証を取得後に返上した企業のISO担当者や経営幹部に対して行われ、合計301名の回答が得られました。調査期間は2025年6月6日から2025年6月10日までの間で、インターネットを通じて実施されました。
返上理由の分析
調査結果によると、ISO認証を返上した理由の多くは「認証維持にかかるコストが高かった」というもので、47.2%の企業がこれを挙げています。次いで「効果が得られなかった」(46.8%)や「取引先からの要請がなくなった」(30.9%)と続きます。これらの結果から、コスト面の負担が根強く、企業がISO認証を維持する必要性について疑問を抱くケースが多いことがうかがえます。
特に、8割以上の企業が3年以上認証を維持してきたにも関わらず、実際には効果を実感できなかったと回答している点が特徴的です。これにより、ISO認証の持つ意義が社内で浸透しなくなり、運用が負担となる状況が現れていると推察されます。
返上後の影響は?
ISO認証を返上した後の影響について尋ねた結果、『特に影響はなかった』との回答が42.2%を占めました。一見すると安堵の声のようにも聞こえますが、実際には「リスクへの危機感低下」や「競合との比較・差別化困難」といった具体的な影響を感じている企業が存在することも明らかになりました。特に、入札条件から外れることで受注のチャンスを失った企業もあったとのことです。
ある企業の代表は、「ISOがないことで受注単価が30%引き下げられた」と述べ、ISO返上がもたらす「コスト上昇局面」の現実を語ります。
判断の必要性
返上の決断をする際、多くの企業が社内判断のみで行ったことが分かりました。具体的には、『社内で判断したのみで外部相談はしなかった』が31.9%で最も多い結果となりました。このことから、事前に影響予測を行うことや、外部専門家の意見を取り入れる重要性が強調される結果となりました。社外の意見なしに判断することは、潜在的なリスクを見逃す要因となり得るのです。
終わりに
今回の調査から、ISO認証を返上する企業の多くが抱えるリスクやその影響についての理解が深まりました。コストや効果に関する評価が十分ではなく、結果として意義を見失ったことが返上の要因であることが分かりました。企业は認証の存続を支えるために、社内ルールの定期見直しや、社員教育を通じた理解促進に取り組む必要があるでしょう。
最後に、ISO認証を返上する前に、業務や取引面での影響を多角的に見極め、専門家の知見を取り入れることで、予期しないリスクを軽減する姿勢が求められます。なお、ISOの新規取得や運用サポートを行う『ISOプロ』では、企業の成長を後押しする体制を整えています。詳しくは、
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