オンラインで楽しむ日本の美
阪急文化財団が手がける逸翁美術館は、長尺の絵巻物を多く所有しているものの、展示スペースの限界からすべてを広げきれないというジレンマを抱えていました。しかし、その課題をクリアするために、昨年度に始まった「デジ絵巻」というオンラインプラットフォームが、特に注目を集めています。このサイトでは、重要文化財に指定された「大江山絵詞」が公開され、多くの人がその楽しさを味わっています。
本年度は、さらに多彩な内容が追加され、「デジ絵巻~奥の細道画巻~」が公開される運びとなりました。与謝蕪村による「奥の細道画巻」は、松尾芭蕉の名作『おくのほそ道』をもとに、俳画風の挿図と共に美しく描かれています。逸翁美術館に収蔵されているのは、安永8年(1779)に制作されたもので、巻末には蕪村の師匠、呉春(ごしゅん)による「極書(きわめがき)」が付されるなど、非常に価値のある一品です。
オンライン鑑賞の新たな楽しみ方
「デジ絵巻」では、物語を読み進めながら、絵画の表現を楽しむという新しい鑑賞体験が可能です。特筆すべきは、書かれた物語(「詞書(ことばがき)」)とそれに関連する絵画が、スムーズにスクロールして閲覧できることです。さらに、「くずし字」や歴史的仮名遣いで書かれた「詞書」を現代語に訳した「翻字(ほんじ)」を重ねて見る機能も備えています。このような機能を活用することで、物語のあらすじや場面解説を別画面で確認しながら、より深く作品を味わうことができるのです。
また、鑑賞者は拡大機能を利用して細部を観察したり、特定の場面に対応した絵画を直接開いたりすることもでき、オンラインならではのメリットを最大限に享受できます。最近追加された機能には、詠まれた俳句から関連する絵画の場面を開くことができるオプションも含まれ、ますます多様な楽しみ方が広がっています。
公開日と展覧会情報
「デジ絵巻~奥の細道画巻~」は、芭蕉が『おくのほそ道』に旅立った日、5月16日から公開が始まります。この特別な機会に、ぜひ一度アクセスしてみることをおすすめします。
「デジ絵巻」へのアクセスは
こちらです。
また、逸翁美術館では4月12日から開催中の展覧会「四条派ですが、実は─詩情派。呉春」が本日から後期日程に入り、6月15日まで展示が行われます。この機会に、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
詳細は
こちらから確認できます。
公益財団法人 阪急文化財団の取り組みに、ぜひ注目してみてください。