カスタマーハラスメント実態調査:アルバイト従業員の苦悩と企業の対策の現状
株式会社マイナビが実施した「アルバイト従業員へのカスタマーハラスメント実態調査」の結果が公表されました。この調査では、2018年の1年間にアルバイト採用業務に従事した20〜69歳の社員1,500名を対象に、顧客からのハラスメントを受けた実態について探求されています。近年、業界を問わずカスタマーハラスメント(カスハラ)が問題視されており、その影響は特に対面接客業において顕著です。
調査結果の概要
調査結果によると、45.7%の企業が自社のアルバイト従業員が何らかのカスハラを受けたと回答しており、特に販売・接客業ではその割合が7割を超えています。具体的には、パチンコやカラオケなどの接客業では77.7%、コンビニやスーパーなどの販売業でも70.3%に達しました。これは、接客業に従事するアルバイト従業員が日常的に顧客からの理不尽な扱いを受けていることを示しています。
被害内容とその影響
被害内容としては「大きな怒鳴り声を上げられた」が最も多く、36.3%がこのような経験をしています。また、理不尽な要望を繰り返し問い合わせられるケースも32.1%存在しました。他にも、ホールキッチンや調理補助のアルバイトでは、SNSに悪い口コミを投稿するなどの脅しが37.5%に達しており、企業のブランドイメージに対する脅威になっています。
カスハラの影響は深刻で、被害を受けた企業は早期離職率が高く、34.2%が1カ月以内の早期離職を経験したと報告しています。つまり、カスタマーハラスメントがアルバイト従業員の定着率に直接的な影響を及ぼしているのです。
企業の対応状況
調査結果では、多くの企業がカスハラ対策を講じていないことが浮き彫りになりました。36.7%の企業が特に何も対策を講じておらず、中にはカスタマーハラスメントへの基本方針すら策定していない企業も多いのが現状です。対策としては、マニュアル作成や研修が中心で、実際の被害の把握やフォローアップが不足しています。
今後の対策
厚労省では2024年にカスタマーハラスメント対策を義務づける法改正を提案しており、2025年4月からは東京都で全国初のカスハラ防止条例が施行される見込みです。このように、社会全体での取り組みが進む中、企業にも従業員を守るための具体的な施策とケアが求められています。
まとめ
カスタマーハラスメントの問題は、アルバイト従業員の職場環境を悪化させ、早期離職を引き起こす要因となっています。企業がしっかりとした対策を講じ、従業員が安心して働ける環境を整えることが今後の働き方において重要となるでしょう。賃上げや福利厚生の向上に加え、従業員へのサポート体制を強化することが、企業にとっても利点となるはずです。