高齢者施設に広がる「介護美容」の新しい風景
高齢化が進む日本において、介護が必要な高齢者に特化した美容サービス「介護美容」が注目を集めています。このサービスを提供する株式会社ミライプロジェクトが運営する訪問美容サービス「care sweet」は、2021年の開始から2024年にかけて、導入する施設の数が11倍、利用者数が8倍に増加したことを発表しました。
「介護美容」とは何か
「介護美容」とは、高齢者が必要とする様々な美容サービスを通じて、心身の健康をサポートする新しい形の介護です。具体的には、メイクやネイル、エステなどを中心に行い、本人のADL(Activities of Daily Living、日常生活動作)やQOL(Quality of Life、生活の質)の向上を目指しています。
このサービスを提供するのは、「ケアビューティスト」と呼ばれるプロフェッショナルたちです。彼らは美容に関する高度な知識や技術だけでなく、介護や医療に関する資格や知識も持っています。
高齢者のコミュニケーションを促進
介護美容の効果は、美容だけに留まりません。あるグループホームのケアビューティストが定期的に訪問し、ネイルケアを行ったところ、元々消極的だった入居者が、ネイルを好きな色に彩ることを通じて、自分の好みを表現できるようになりました。これがきっかけとなり、他の利用者間でのコミュニケーションも活発化し、施設全体の雰囲気が明るくなったといいます。
このように、「介護美容」は単なる美容サービスにとどまらず、高齢者が生き生きとした人生を送るための重要な要素となっています。
介護美容導入施設の効果
東京都荒川区の「尾久のはらっぱ」では、介護美容研究所を卒業したケアビューティストが職員として在籍し、毎月22日に「はらっぱBEAUTY」を開催しています。施設長の佐野様は、介護美容を始めることで入居者の表情が明るくなり、特に認知症の方が再びメイクやネイルを通じて自信を持つ様子を見て感動したと語っています。また、メイクされた姿を見たご家族が施設を訪れるようになり、介護に対する積極的な関与が生まれたことも大きな成果として挙げられています。
技術者育成の重要性
介護美容を支えるのは、その専門的な技術を持つケアビューティストたちです。株式会社ミライプロジェクトが運営する「介護美容研究所」では、2018年の開校以来、毎年多くの受講生を迎え入れています。2025年には累計2,997名の卒業生が誕生し、今後も高齢者福祉と美容を結びつける重要な人材が期待されます。
未来の展望
株式会社ミライプロジェクトは今後も「介護美容」を広め、高齢者とその家族、さらには介護職員から求められるサービスを提供していく考えです。2024年には約600名の新たな受講者が予定されており、ますますこの分野は賑わいを見せることでしょう。
「care sweet」を通じて、高齢者が自己を表現し、豊かな人生を送る手助けをしていくこの取り組みは、まさに先進的な試みと言えます。
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詳細については、株式会社ミライプロジェクトの公式サイトをご覧ください:
ミライプロジェクト