株式会社ispaceが2025年3月期の業績を発表
2025年3月期の通期決算を発表した株式会社ispace(本社:東京都中央区、代表取締役:袴田武史)は、この結果を受けて今後さらに成長が見込まれることを示唆しています。5月9日に発表された情報によると、売上高は4,743百万円に達し、前年同期と比較して大幅な増収を記録しました。この背景には、ミッション3における費用の前倒し計上が影響しており、会計基準の変更に関連するミッション2の売上も寄与しています。
経営成績の概要
具体的には、2025年3月期の売上高は前年比で約47億円となりました。このうち、特にミッション2の影響で売上が先に計上されたことが功を奏し、全体の収益を押し上げました。ただし、同期の営業損益は△9,795百万円、当期純損益は△11,945百万円と、いまだ厳しい状況であることも事実です。特に、円高の影響により為替差損が業績に響いたことが減益の主因とされています。
2026年に向けた予測
株式会社ispaceは、次期の業績予想として2026年3月期の売上高を6,200百万円と見込んでいます。主にミッション3の収益が牽引する予定であり、宇宙戦略基金第一期に採択された各種プロジェクトの収益も加わる見込みです。また、ミッション4からの売上も一部開始されることが期待されています。
今期はミッション4の費用負担が本格化しますが、SBIR補助金の存在により、収益の改善も期待されています。特に、プロジェクト収益としてこれまでの会計基準とは異なる視点での収入が計上される見込みで、成長を裏付ける材料となるでしょう。
会計上の売上とプロジェクト収益
今回は新たに、会計上の売上に加え、SBIR補助金からの収入を合算した「プロジェクト収益」を開示することで、事業の持続的成長をアピールしています。2026年3月期には、このプロジェクト収益が大幅に増加することを見込んでおり、約31%の売上高増加が期待されている中で、実際のプロジェクト収益は倍増する可能性があります。
経営陣のコメント
取締役CFOの野﨑順平氏は、2025年3月期を「民間月面ビジネスの幕開け」と位置づけ、政府による支援体制の強化や、国際的なパートナーシップの深化に期待を寄せています。特に、宇宙戦略基金の支援や、NASAが発表した月探査への投資は、民間企業にとっても大きな追い風となっています。
このような外部の支援の中で、株式会社ispaceはミッション2やミッション3での実績を積み重ねることで、今後の月面着陸成功に向けた取り組みを強化しています。引き続き、これらのミッションを通じた知見を次のプロジェクトに活かし、日本の宇宙産業の一翼を担う企業としての成長を追求していく考えです。
企業紹介
ispaceは「人類の生活圏を宇宙に広げ、持続可能な世界へ」というビジョンを掲げ、月面資源の開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業です。約300名のスタッフが在籍し、共同での宇宙事業の展開に尽力している中、2025年6月には月面着陸の成功を再度目指しています。成長を続ける宇宙市場でのポジションを確立するため、今後も革新的な挑戦を続けていくでしょう。