特別な楽器で音楽の壁を越える
ソニーミュージックエンタテインメントと一般社団法人世界ゆるスポーツ協会(以下、世界ゆるスポーツ協会)は、2024年9月22日から24日にかけてイギリス・ブリストルで開催された「Sony Assistive Musical Instrument Hackathon」に参加しました。このイベントは、障がい者向けに音楽を楽しむことで、障がいの有無に関わらず楽しめるアクセシブルなテクノロジーの開発を目指すものです。
ハッカソンの背景と目的
今回のハッカソンは、イギリスにおいて障がい者が音楽を楽しむための楽器開発を進めているDrake Musicによる招聘で設立されました。参加者は、Paraorchestra(インクルーシブなオーケストラ団体)、Watershed(クリエイティブ・スペース)、MyWorld(産学連携の団体)など多様な顔ぶれが揃い、約70名のメンバーが集結しました。これまでに障がいのあるミュージシャンたちが直面してきた課題を技術とデザインの力で乗り越え、音楽活動に参加できる環境を整えることがこのイベントの主要な議題です。
初日の活動と交流
イベントの初日には、これまでに開発された楽器のデモが行われ、参加者同士の交流が深まりました。特に、Paraorchestraのメンバーによるコンサートは参加者の関心を引き、楽器開発に向けた意識が高まりました。その日の活動を通じて、障がい者でも楽器を演奏できる可能性をますます感じられるようになった参加者たち。
実践を通じたアイデアの具現化
ハッカソンの2日目には、本格的なチーム戦がスタートしました。チーム“ゆるミュージック”には障がいのあるスティーブ・バーデンがメンバーとして参加し、彼の希望を反映した楽器の開発が行われました。スティーブは支援技術を駆使し、彼の要求に基づく楽器のデザインに専念。チームは活発なディスカッションを繰り広げ、アプローチを重ねながらスティーブが演奏しやすい、シンプルなインターフェースの楽器を完成させました。
最終日の成果と発表
最終日、チームは開発した楽器のプレゼンテーションを行いました。開発者は「完全にゼロからスティーブのための楽器を作りました。特に彼のインタビューから多くのインサイトを得て、シンプルさを重視した設計に感謝しています」と語り、スティーブも「この音楽的ガーデニングの旅を共に始めてくれたチームに感謝します。私たちは音楽の様々な形を育てることができました」と述べ、自らの発表を誇らしく感じていました。参加者からは大きな拍手が送られ、彼らの努力の結晶を称賛しました。
今後の展望
ハッカソンを主催したDrake Musicの代表、ティム・イエイツはスティーブの演奏に感動し、「彼のような経験を通じて障がい者がさらなるステップを踏み出してくれることを期待しています」と語りました。今回のイベントを通じ、世界ゆるミュージック協会は東京や大阪、インド(ベンガルール)、中国(上海)、そしてイギリス(ブリストル)と活動範囲を広げており、これからの展開が楽しみです。音楽の力で全ての人に演奏する喜びを届けるプロジェクトとして、注目が集まります。
スティーブ・バーデンについて
スティーブは多才なパフォーマーであり、重度の身体障害を抱えるミュージシャンとして広く知られています。彼の活動は、社会における障がい者の参加を促進し、その視点を広めることを目指しています。
このような取り組みから、新たな音楽文化が育まれ、障がい者が音楽の世界にアクセスしやすい環境が構築されることが期待されます。