奈良県広陵町の靴下がシリア教育支援に寄与
奈良県広陵町では、特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクトが主導する国際教育支援の一環として、地域の靴下がシリアの教室で活用されるという特別な取り組みが行われています。この活動は、2025年のシリア教育支援を見据え、地域の産業を海外とつなぐ新たなコミュニケーションの一例です。
シリア・デリゾールの現状と靴下教育
2023年11月27日、なかよし学園の中村雄一代表が広陵町役場を訪れ、町長や教育長にシリア・デリゾールでの教育支援活動の成果を報告しました。この報告では、広陵町から寄贈された靴下が、戦後の復興が進むシリアの教室で、重要な教材として役立っている光景が写真や動画を通じて共有されました。
契機として、広陵町は「靴下のまち」としてネームバリューを持つ地域。その靴下がデリゾールで使用されることで、地域の製造業が国際的な文脈で意味を持つことが示されているのです。シリアの若者たちは、広陵町の靴下を通じて、日本の戦後復興とものづくりの精神を学ぶ機会を得ました。
靴下を通じた国際理解
授業では、日本の靴下産業に関するある重要なメッセージが伝えられました。戦争にも関わらず、地域が技術と仕事を守り続けてきたという事実は、広陵町の靴下からの教訓として語られています。特に、デリゾールの教育省関係者は、日本の靴下の品質に対して高い評価をし、製造技術を要望していました。
この活動は単なる物資の寄付にとどまるものではなく、靴下を通した文化交流や産業の理解を深めることにつながります。広陵町から届いた靴下は、デリゾールの学生たちにとって貴重な学びとなり、その見返りとして、シリアの伝統工芸品であるカラッシュ(サンダル)が広陵町に送られるという形での相互理解の実現が見られました。
デリゾールの歴史と現状
デリゾールの立地条件は、長い歴史を背景にもつ場所です。かつては綿花と小麦の産地として知られる地域であり、その後の内戦では甚大な被害を受けました。教育の機会が途絶えた中でも、地域復興のために若者たちが学びの場を再び設ける姿勢は、シリアの未来に対する希望を感じさせます。
デリゾールは今でも、不発弾や地雷といった戦争の遺産が残っており、多くの市民は、毎日困難な状況に直面しています。それでも、少しずつ教育環境が改善されている様子が、靴下を通じた授業によっても示されています。
教育機関としての理念
なかよし学園が推進する「世界とつながる学びプロジェクト」は、国内外の教育機関を結びつける活動を行っており、今回の広陵町との取り組みもその一環です。地域の靴下を教材化することで、子どもたちに国際理解と異文化交流の機会を提供することを目指しています。
広陵町の町長や教育長からも、今回の活動が地域の学びにとって非常に重要であるという意見が寄せられました。その思いは、たくさんの学生たちにも伝わり、広陵町のものづくりが国際社会と結びつくという自信を与えるきっかけとなっています。
今後の展望
今後は、広陵町内の小中学校における「世界とつながる学びプロジェクト」の導入が検討されています。また、靴下とカラッシュをテーマにしたオンライン交流や共同授業の開発も視野に入れたプログラムが進められています。
地域の宝である靴下が、世界の様々な場面で価値を持つことを子どもたちに伝え、地域間の交流を深めていくことが期待されています。このように、広陵町からシリアのデリゾールに届く靴下は、単なる商品を超えた文化的な架け橋であり、未来をつなぐ可能性を秘めています。