東北大学発ベンチャーFOX、次世代パワー半導体開発に2.7億円調達!
東北大学発のスタートアップ企業である株式会社FOXが、2024年10月、総額2億7000万円の第三者割当増資を実施したことが明らかになりました。この増資には、東北テックベンチャーズ(TTV)、マクニカ・インベストメント・パートナーズ、岩谷ベンチャーキャピタルが参加。調達資金は、次世代半導体素材として期待される酸化ガリウム(β-Ga₂O₃)を用いたパワー半導体の低コスト量産化に向けた研究開発に充当されます。
酸化ガリウムパワー半導体:脱炭素社会実現のカギ
カーボンニュートラルの実現には、デジタル化による省エネルギー効果と、増加するインフラ消費電力の抑制が不可欠です。その中で、電力消費の改善に貢献するパワー半導体技術が注目されており、酸化ガリウムはその有力候補として期待されています。酸化ガリウムは、ワイドバンドギャップ半導体としての高い特性を有し、高効率な電力変換を可能にするため、次世代の省エネルギーパワーデバイスとして注目を集めています。
FOXの取り組み:量産化による社会実装
FOXは、高品質で低コストな酸化ガリウムウエハの量産体制構築を目指し、研究開発を進めています。量産化による低コスト化は、酸化ガリウムパワー半導体の社会実装を加速し、電気自動車や再生可能エネルギーインフラなどへの導入を拡大すると期待されています。 さらに、従来のシリコンパワー半導体の電力損失問題を根本的に解決し、環境配慮型の持続可能な技術として、2050年カーボンニュートラル目標への貢献を目指しています。
急成長するパワー半導体市場
現在、パワー半導体市場は3兆円の規模ですが、2035年には8兆円に拡大すると予測されています。FOXの取り組みは、この急成長市場において大きな可能性を秘めています。
東北テックベンチャーズの支援
今回の増資において、重要な役割を果たしたのが東北テックベンチャーズ(TTV)です。TTVは、東北大学発のスタートアップ支援に特化したベンチャーキャピタルとして、研究機関出身のメンバーにより設立されました。TTVは、FOXの技術革新性と社会貢献性を高く評価し、今回の出資に至ったと説明しています。TTVは、単なる資金提供にとどまらず、事業化支援や経営コンサルティングなどを通じて、FOXの成長を強力にサポートしていく方針です。
FOXの今後の展望
FOXは、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「ディープテックスタートアップ支援事業」に採択されており、今後、最大30億円の研究助成を目指しています。今回の資金調達とNEDOの支援を組み合わせることで、量産化に向けた研究開発をさらに加速させ、早期の事業化を目指していくとしています。
まとめ
FOXの酸化ガリウムパワー半導体開発は、脱炭素社会実現に向けた重要な技術革新であり、東北テックベンチャーズなどの支援によって、その実現が加速すると期待されます。今後の動向に注目が集まります。