ウェルビーイングの理解が進む企業の現状
日本の労働環境において、企業がウェルビーイングに対して真剣に取り組む姿勢が見受けられる。株式会社月刊総務が実施した全国企業対象の「ウェルビーイングに関するアンケート調査」では、161名からの有効回答を受け、様々な興味深い結果が得られた。特に、出社とテレワークを組み合わせたハイブリッド勤務が、多くの人にとって理想的な働き方として認知されていることが浮き彫りになった。ここではその調査結果と、背景にある問題点について考察してみよう。
調査結果の概要
調査から浮かび上がったのは、ウェルビーイングに関する取り組みが過去3年間で確実に進展してきているという事実である。ウェルビーイングに関して「よく理解している」や「なんとなく理解している」との合計は74.5%となり、前回調査の58.1%から16.4ポイントの増加を示している。これに対して、ウェルビーイングに取り組んでいる企業は64.6%に上昇し、経営層と従業員のギャップも明らかになった。
ハイブリッド勤務が示す理想
調査によると、ウェルビーイングを高く感じる勤務形態として最も多かったのは「出社とテレワークのハイブリッド勤務」で、実に24.2%がこれを選んでいる。このデータは、特にコロナ禍を経た今、勤務形態の多様性が企業文化として定着しつつある兆しを見せている。続く「出社日を定めないテレワーク」と「週3、4日出社のハイブリッド勤務」もそれぞれ21.7%、21.1%と多くの支持を受けている。
一方で、オフィス回帰という現象も観察されている。実際、出社回数が増えたとする回答者が3割以上を占める結果となっており、テレワークを主に行っているのはわずか3.1%に過ぎない。このような動向から、企業全体としてハイブリッド勤務の理想を目指しながらも、実際には従業員のオフィスへの依存が強まっていることが伺える。
経営層と従業員の意識のギャップ
興味深いのは、経営層と従業員の出社頻度に対する期待の違いだ。経営層の約6割が「毎日出社」を望んでいるのに対して、実際にそう望ましいと感じている従業員は3割にも満たないことが明らかになった。このギャップは、両者の業務運営に対する考え方や働く環境に対する期待の違いを如実に表している。
ウェルビーイング推進の理由
調査において、ウェルビーイングに取り組む理由として最も多かったのは「従業員エンゲージメントの向上」であり、73.1%がこれを選んでいる。また、「従業員満足の向上」や「モチベーションの向上」と続く。このデータは、企業がなぜウェルビーイングを重視するのか、その背景を理解する上で重要な要素となるだろう。
課題としての理解と実施
一方で、ウェルビーイングに取り組んでいない企業からの回答も注意すべき点である。「何をすれば良いかわからない」という回答が最も多く、続いて「経営陣の理解がない」という点が挙げられている。このような意見は、全体として組織文化の中にウェルビーイングを浸透させる上での障壁となる可能性があり、企業内でのさらなる対話や情報の共有が求められる。
まとめ
この調査は、ウェルビーイングが日本の企業においてどのように進化しているかを示している。今後も企業の取り組みが進む中で、出社とテレワークのバランスをとりながら、従業員のウェルビーイングをどう高めていけるかが問われているだろう。状況に応じた柔軟な働き方の設計が必要であり、総務部門はこの理念を具体化させていくための戦略を練り続けることが求められている。また、従業員エンゲージメント向上を図るための定期的なヒアリングやフィードバックの実施も実践的な課題となる。さらに、ウェルビーイングの認知度向上や測定方法の工夫が、企業文化として根付くための鍵となるだろう。
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