レーダー技術の革新が自動車研究を加速
2023年12月、株式会社東陽テクニカは一般財団法人日本自動車研究所(JARI)に向けて自ら開発したVILS統合システム「ドライビング&モーションテストシステム(DMTS®)」の新しい機能追加を発表しました。
このシステムには、ドイツのRohde & Schwarz GmbH & Co. KGが製造したレーダーターゲットシミュレーターが組み込まれ、さらに進化した形でJARIの研究開発をサポートすることとなります。主な目的は、JARIが推進している「電動車両シミュレーション基盤」プロジェクトの効率化です。
研究背景
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が主導する「グリーンイノベーション基金事業」の一環で、電動車両の省エネ化に必要な車載コンピューティング・シミュレーション技術を開発するプロジェクトが進行中です。このプロジェクトの一部として、JARIは東陽テクニカのVILS統合システム「DMTS®」を活用しており、これが新しいレーダーターゲットシミュレーターと連携することで、さらなる研究開発の加速が期待されています。
VILS統合システム「DMTS®」の機能
VILS統合システム「DMTS®」は、ハブダイナモメーター、レーダーターゲットシミュレーター、カメラシミュレーターなど多様な機器を組み合わせた高度なシミュレーション環境を構築します。このシステムは、実際の自動車にハブダイナモメーターを接続し、シミュレーション環境のデータに基づいて、実際の走行状況を模擬した試験を行うことが可能です。これにより、さまざまな気象条件を考慮しなくとも、安定した試験運用が実現でき、開発サイクルの短縮にも寄与します。
さらに、このシステムは自動運転やADASの機能評価をサポートするほか、交通流シミュレーションやV2X通信、EV用電源評価システムなど、幅広い分野での利活用が期待されています。
ローデとシュワルツ社製レーダーシミュレーション技術
新たに組み込まれたレーダーターゲットシミュレーターは、車載用レーダーエコー発生器「R&S®AREG800A」とアドバンスドアンテナアレイ「R&S®QAT100」を利用して疑似ターゲットを生成します。このシステムの導入により、車載レーダーセンサーのテストが容易になり、複数のターゲットを同時に再現できる能力が強化されます。
技術革新の波に乗り、自動車業界とモビリティ社会の急速な変化に対応するため、JARIと東陽テクニカの連携は今後も強化されるでしょう。
一般財団法人日本自動車研究所(JARI)について
JARIは自動車に特化した研究機関であり、環境問題や自動車のIoT化に対する社会からの要求に応える形で、さまざまな研究に従事しています。主に「環境」「安全」「新モビリティ」の分野で先進的な研究を行い、持続可能なモビリティ社会の実現に向けた取り組みを進めています。
結論
東陽テクニカのVILS統合システム「DMTS®」の開発と導入は、自動車におけるシミュレーション技術の新たな時代を切り開くでしょう。その影響範囲は広がりを見せ、今後の自動車産業における研究開発を一段と進める契機となることが期待されています。