数学の魅力を描いた青春小説
日本での受験戦争がある一方、韓国では「算数」と「数学」が特に重視されている。そんな受験大国の中で注目を集めるのが、コ・ジョンウク著、岡崎暢子訳、町田メロメイラストによる新作『ナビエ・ストークス方程式と僕らの最終定理』だ。この作品は、数学に対する興味と親子の絆を描いた爽やかな青春小説であり、韓国では既に多くの読者の心をつかんでいる。
数学が変える人生
本作の主人公は、父親の失業と母親の家出により、地方の緑山市に引っ越してきた中学生のジュンピョ。彼は、友人もお金もなく、日常に挫けそうになっている。そんな時、転校生の数学オタク・ジョンシクと出会い、彼の熱意に触発されていく。ジョンシクは、数学の力を使って、土石流によって失われた寺の財宝を見つけるという夢を持ち、ジュンピョをその冒険に誘う。
ジュンピョは、数学が難解で大嫌いだった。しかし、ジョンシクの情熱に触れ、少しずつ数学の面白さに気付いていく。物語は、ただの友情の物語ではなく、数学が人生の行程をどのように変えるかを描いた希望の物語である。
文学界の注目株
コ・ジョンウクは、韓国を代表する児童文学作家であり、数百作品で累計部数は500万部を超える実力派だ。幼少期に重度の障害を持ちながらも著作を通じて社会に訴えかけ、多くの人々に勇気を与えている。彼の作品は、2025年に授与される権威あるアストリッド・リンドグレーン記念文学賞(ALMA)にもノミネートされている。
また、翻訳者の岡崎暢子は多くの著名な書籍を翻訳しており、彼女の経歴も光る。彼女の作業で、韓国の文学と日本の読者がつながる架け橋となっている。
イラストは人気漫画家
さらには、カバーイラストを担当する町田メロメ氏は、SNSを中心に注目されている漫画家であり、彼のイラストも作品の大きな魅力を形成している。数字の世界観を一層豊かに表現し、読者の興味を引くことに成功している。
新たな読者に向けて
この作品は、数学に挑戦する全ての子供たち、そしてその親たちに向けて希望のメッセージを送る。数学が単なる教科ではなく、人生を切り開く力を持っていることを証明する物語が、今年の夏に読んでおくべき一冊である。
『ナビエ・ストークス方程式と僕らの最終定理』は、7月2日から全国の書店やネット書店で予約可能。ぜひ、自分自身や大切な人と一緒に手に取ってみてほしい。学びを通じて人生の新たな道を発見するきっかけになるかもしれない。彼らの冒険が、求められているのだとなるまで、夢を追い続けていく様子を共に追体験しよう。