三幸製作所がカンボジアに医療機器寄贈、農村のお産を支える

医療機器の寄贈で支えるカンボジアのお産

株式会社三幸製作所が、国際協力NGOである特定非営利活動法人ピープルズ・ホープ・ジャパン（以下、PHJ）に対して吸引分娩器を3台寄贈しました。これらの機器は、カンボジアのシェムリアップ州にある医療施設に届けられ、地元の医療従事者によって使用されることが期待されています。また、三幸製作所の技術者2名もカンボジアに渡航し、現地の医療スタッフに対して吸引分娩器の操作についての研修を行う予定です。

吸引分娩器の役割

吸引分娩は、妊娠・出産がスムーズに進まない場合に用いる出産方法の一つです。この手法では、吸引圧を利用して赤ちゃんをお母さんの元へ引き出します。しかし、カンボジアの農村部では、多くの医療施設がこの機器を備えておらず、出産時にリスクを抱える妊婦が多いのが現状です。この度の吸引分娩器の寄贈と、それに続く技術支援は、カンボジアの安全で安心なお産の実現へと繋がる重要な取り組みです。

カンボジアの母子保健事情

カンボジアでは、母体や新生児の健康状態が深刻な問題となっています。妊娠中や出産、産後に亡くなるお母さんのリスクは、日本の50倍以上となっており、1歳までの赤ちゃんが亡くなる確率は日本の10倍に達します（出典：世界子供白書2023）。これらの課題の背景には、医療施設や医療従事者の不足、保健衛生に関する知識の欠如があります。

1970年代の内戦とポルポト政権の影響で、カンボジアの医療制度は大打撃を受け、医師の数はわずか50人以下になったとも言われています（出典：世界銀行）。農村部には保健センターが存在しますが、医療サービスの質は十分でなく、設備の整備も後れています。人口の80％が農村に住むにも関わらず、多くの専門医は首都プノンペンに集中しているため、地域における医療従事者が不足しているのです。

PHJの活動と未来の展望

PHJは、カンボジアとミャンマーの農村地域において、母子の健康改善を目指した取り組みを行っています。家庭訪問による保健教育や、母子保健推進員の育成、助産師のスキルトレーニングなど、総合的なアプローチで支援を行い、孤立した母子を守るために活動しています。さらに、医療器材の寄贈などハード面でもの不足に対応し、持続的な健康環境の構築を目指しています。