創業1年ベンチャーが九電工と手を組み、空調制御AIで脱炭素化へ
2023年4月に設立されたばかりのベンチャー企業「株式会社メンテル」が、九州電力のグループ会社である株式会社九電工と、個別空調制御AIの共同開発に関する基本契約を締結しました。この取り組みは、建物の空調エネルギー消費削減による脱炭素化への貢献が期待されています。
近年、地球温暖化問題が深刻化する中、建物のCO2排出量は国全体の30%を占め、2040年までに40%削減という目標が掲げられています。特に、建物全体のエネルギー消費の多くを占める空調用途の削減ポテンシャルは大きく、その中でもオフィスやホテルなどで採用率の高い個別空調方式の制御最適化が課題となっています。
メンテルは、AIを活用した設備制御の最適化ソリューションを提供することで、「サステナブルな建物へのアップデートを永続的に」というミッションを掲げています。一方、九電工は、長年培ってきた空調設備の設計施工に関する知識とノウハウを活かし、省エネルギーと快適性の両立を目指しています。
今回の共同開発では、メンテルが開発したAI技術を駆使し、建物の空調システムを最適化することで、エネルギー消費量の削減と快適性の向上を同時に実現します。具体的には、以下の3つの機能で構成されます。
1.
空調実態の補足: 空調コントローラーやセンサーを設置することで、空調稼働状況や屋内環境を自動的に計測します。
2.
自動制御の設定: ヒアリングを通じて、空調オペレーションを分析し、最適な制御値を設定することで自動運転を実現します。
3.
制御値の最適化: 運転実績データに基づき、制御値を継続的に最適化することで、運転効率の向上を目指します。
両社は、2024年6月から開発を開始し、2025年以降にAIによる個別空調制御最適化サービスの導入を目指しています。まずは、電気式のEHPを主な制御対象として検証を進め、将来的にはガス式のGHPにも応用可能な高効率制御ロジックの開発も視野に入れています。
今回の共同開発は、単に空調システムの効率化にとどまらず、AI技術を活用することで、建物や都市全体の脱炭素化に貢献していくことを目指しています。また、両社は人材交流を推進することで、専門知識と技術を共有し、将来的な他分野における協業にも繋げていくことを期待しています。
共同開発の背景と今後の展望
地球温暖化問題が深刻化する中、脱炭素化への取り組みは喫緊の課題となっています。特に、建物はエネルギー消費の大きな割合を占めることから、空調システムの省エネ化は重要な取り組みの一つです。
メンテルと九電工は、それぞれの強みを活かし、AI技術と空調設備に関するノウハウを融合することで、個別空調制御の最適化を実現し、脱炭素化に貢献していきます。将来的には、オフィスビルや商業施設だけでなく、住宅や病院など、様々な建物への展開も視野に入れています。
今回の共同開発は、ベンチャー企業と大企業がそれぞれの強みを活かし、社会課題解決に取り組む好事例と言えるでしょう。今後も、AI技術を活用した革新的なソリューションが期待されます。