介護テクノロジー導入の新たな試み─3つのモデル事業所の成果

介護テクノロジー導入の新たな試み

介護現場の生産性向上は、質の高いサービスを提供する上で非常に重要です。株式会社TRAPEは、その活動の一環として、佐賀県内の3つの介護事業所で「生産性向上伴走支援サービス Sociwell」を実施しました。ここでは、その取り組み結果を詳しく紹介します。

1. 介護テクノロジー導入に向けた背景

その背景には、介護業界の生産性向上を図るための国の施策があります。TRAPEは2017年から、この分野で中心的な役割を果たしてきました。特に、介護ロボットの開発・実証・普及に関わるプラットフォーム事業を通じて、効率的な介護を実現するためのモデルを構築しています。

2. 取り組みの概要

今回の支援では、TRAPEが選定した3つのモデル事業所、特別養護老人ホーム「歌垣之園」、デイサービス「のどか」、グループホーム「せせらぎ」において具体的な生産性向上のセミナーを開催しました。また、介護ロボット導入に向けた基盤作りや業務改善を重視し、各事業所における特定の課題に対する支援を行いました。

3. 各モデル事業所の成果

特別養護老人ホーム「歌垣之園」

「直接介護の時間こそが介護の価値である」という信念のもと、業務の見直しに着手しました。職員間の情報共有を円滑にし、記録作業の無駄を省くことで、利用者との対話の時間が増加。これにより、職員のコミュニケーションも活発になりました。

デイサービス「のどか」

年配職員が介護ソフトの入力業務に意義を感じにくいという課題がありましたが、リーダーが丁寧なコミュニケーションを行うことで職員の意識が変わりました。全職員が業務に参画することで、チーム全体の雰囲気も改善され、業務負担の軽減が見られました。

グループホーム「せせらぎ」

夜間の見守り業務が負担となっていましたが、再アセスメントの実施により業務改善を実現。職員が協力して対応する体制が整ったことで、精神的負担が減少し、チームワークが強化されました。さらに、必要なテクノロジー機器の選定へもつながりました。

4. 取り組みの成果

これらの事業所からは、業務改善による課題解決に対する理解が深まったといった声が寄せられています。また、リーダーやスタッフ間のコミュニケーションの向上も伺え、テクノロジー活用に対する意識も高まりました。デジタル化による業務効率化が進んだことは、業務負担軽減だけでなく、職場環境の向上にも影響を与えています。

事業所経営者からの声

特別養護老人「歌垣之園」の施設長は、「業務改善の機運を維持し、継続的な努力をしていく」ことが重要だと語っています。また、デイサービス「のどか」の取締役も全職員が業務を分担する体制の確立ができたことに喜びを感じていると述べています。グループホーム「せせらぎ」では、リーダーが自信を持ち、スタッフと共に課題解決に向かう姿勢が育まれてきたと報告されています。

5. 今後の展望

介護業界の進化は、単にテクノロジーの導入にとどまらず、業務改善のプロセス全体を見直すことが必要です。TRAPEの取り組みは各事業所の自律的な運営を支えるものであり、その結果、より良い介護サービスの提供に結びつくことが期待されます。

この取り組みを通じて、佐賀県における介護現場の成長と発展に寄与する姿勢は、他の地域への展開に向けても大いに期待されます。今後もTRAPEは、その実績をもとに全国の介護事業所での支援に邁進していきます。