東京メトロ丸ノ内線のCBTCシステムが受賞
東京メトロ(東京都台東区)は、三菱電機(東京都千代田区)および日立製作所(東京都千代田区)と共同で、最新の無線式列車制御システム(CBTC)の導入でついに栄誉ある賞を受賞しました。この受賞は、令和7年度の第73回電気科学技術奨励賞に選ばれたもので、その贈呈式は11月25日に東京都千代田区のKKRホテル東京で行われました。
CBTC(Communications-Based Train Control)システムは、日本の地下鉄として初めて丸ノ内線に導入され、信号保安設備の更新にあたり販売されました。このシステムでは、高性能な演算装置と無線装置を活用し、従来の軌道回路から脱却することで、より安全で安定した列車の制御が実現されました。具体的には、次のような特長があります。
1.
障害に強いシステムの構築: 脱軌道回路によって、列車の位置を的確に検知し、信号システムの安定性が向上しました。
2.
遅延回復能力の向上: 移動閉そくにより、列車の運行がスムーズに行われ、遅れが生じた際の回復が早くなりました。
3.
自由度の向上: 無線の双方向通信により、列車が逆方向に運行する際も安全を確保しつつ、運行の柔軟性が増しました。
このCBTCシステムの鍵となる技術は、列車が自らの位置を常に把握し、地上からの信号を無線通信を通じて連続的に受信する点です。これにより、運行管理システムと連携し、列車の位置認識精度が飛躍的に向上されました。従来は最短50メートル単位でしか認識できなかったものが、0.1メートル単位の精度を実現しました。これにより、先行列車の動きに合わせて後続列車がスムーズに運転することが可能となり、これまでにない遅延回復力を実現しました。
2024年12月7日から本格的に運用が始められる予定のCBTCシステムにより、朝の通勤時間帯には約6割も遅延証明書が減少することが期待されています。また、故障や事故を除いた場合、最大遅延時間が従来の5分を超えることが少なくなり、大幅な安定性向上が見込まれています。
電気科学技術奨励賞は、公益財団法人電気科学技術奨励会によって設立されたもので、電気科学技術の発展に寄与する技術や人物を表彰するものです。今回受賞した3社は、このシステムの技術開発と実用化の取り組みが高く評価され、今後の鉄道運行の新たな可能性を示唆しました。未来の鉄道がどのように進化していくのか、その進捗が楽しみです。