2025年のリノベーション・オブ・ザ・イヤー最優秀作品が発表
12月11日、東京大学本郷キャンパスにて、2025年を代表するリノベーション作品を選出する「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2025」の授賞式が行われました。本アワードは、一般社団法人リノベーション協議会(東京都中央区)が主催しており、全国から集まった206件のエントリーの中から選ばれた作品が評価されました。
総合グランプリ受賞の背景
今回の総合グランプリには、合同会社つみき設計施工社が手掛けた作品「人間は、つくることをやめない」が選ばれました。これは同社が初めてエントリーしたものであり、DIYリノベーションを掲げる工務店として、2010年から「ともにつくる」という理念のもとで作業を進めてきた成果です。選考委員会では、単なるDIYの枠にとどまらず、日本の現代住宅史において革新的な取り組みを行っていると高く評価されました。
このプロジェクトは、1971年に登場したセキスイハイムM1という、工業化住宅を象徴する住宅のリノベーションによって、住む側が主体的に手を入れるという新たな価値観を創出しました。リノベーションは、ただ壊して作り直すのではなく、コミュニティをつくり、住まい手自らが思いを込めて家を育てるプロセスを重視した点が評価されたのです。
部門別最優秀作品賞の受賞作品
1.
800万円未満部門最優秀作品賞:
- 「市営住宅のあり方を、団地の経験値で解く」株式会社フロッグハウス。
このプロジェクトでは、賃貸市営住宅の機能向上に重点を置き、環境改善を図った点が評価されました。
2.
1500万円未満部門最優秀作品賞:
- 「わたしのための、パブリックスペース」株式会社コスモスイニシア。
住まいの中に和のテイストを取り入れつつも、洗練されたデザインが評価されました。
3.
1500万円以上部門最優秀作品賞:
- 「ガリバーを解き放て!」リノクラフト株式会社。
住居の外観や構造を大きく変える取り組みを通じて住環境を一新した事例として注目されました。
4.
無差別級部門最優秀作品賞:
- 「未踏の集落リノベーション、月見台住宅」株式会社エンジョイワークス。
投資家の参加と街づくりの大切さを実践する取り組みが評価されました。
選考委員の評価
選考委員長の島原万丈氏は、「今般の選考を通じて、日本のリノベーションは、既成概念を見直し新しい視点を持ったアプローチをし続けていると感じた」と述べました。
彼はまた、リノベーションが抱える社会課題、特に人口減少や高齢化の影響をどのように解決していくかが今後のテーマであると言及しました。そして、既存の常識を乗り越えた「遊び心」が必要であり、これが未来のリノベーションをより興味深くしていく鍵であると強調しました。
結論
今回の「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2025」は、ただの賞ではなく、住宅の質や住環境の向上に寄与する重要なステップであることを示しています。これからのリノベーションが、地域社会や個人の暮らしにどのように影響を与えていくのか、非常に楽しみな時代を迎えています。