プラスチックリサイクルに向けた革新的な取り組み
2023年6月、大和製罐株式会社と株式会社digglueが共同で行う画期的な実証実験が始まりました。この実験は、化粧品用プラスチック押出チューブの水平リサイクルを実現することを目的としています。今回の挑戦は、環境への配慮が高まる中、持続可能な社会の構築に寄与する重要なステップとなります。
実証実験の背景
近年、プラスチック廃棄物の問題は深刻化しており、より多くの企業が循環型社会の実現に向けて取り組む必要性を感じています。特に化粧品や日用品に多く使われているプラスチック製の押出チューブは、製造過程でも廃棄物が発生しやすく、その再利用が求められています。大和製罐とdigglueは、リサイクル事業を展開するヴェオリア・ジャパングループと連携し、この問題に立ち向かっています。
この取り組みでは、押出チューブの製造過程で生じる廃プラスチックを粉砕し、再生ペレット化。これにより得られた再生プラスチックを使用した押出チューブの試作や品質評価が行われました。
実証実験の成果
実施された実証実験では、再生プラスチックを使用した際にも容器としての製造性が維持されることが確認され、化粧品や日用品の品質基準にも適合しているとされています。また、大和製罐の東京工場から発生するCO2排出量は従来の製造工程と比較して約33% 削減できることが試算結果で明らかになりました。このような成果は、企業活動と環境保護の両立が可能であることを示す重要な証拠です。
今後の展望
今後は、工場で発生する廃プラスチックを利用した押出チューブの製品化を進めていく方針です。また、長期的な目標として、消費者から排出される使用済み容器も原料として活用し、さらなるリサイクルを目指します。
この取り組みを進める中で、ステークホルダーとの協力も重要な鍵となります。資源循環を可視化するデジタルプラットフォーム「MateRe」を活用し、温室効果ガス排出量やトレーサビリティのデータを可視化することで、より多くの関係者の理解を得る狙いがあります。
MateReプラットフォーム
MateReは、企業からの廃棄物の排出やリサイクル状況をデジタルで可視化・分析するSaaSプラットフォームです。これにより、以前は廃棄されていたものが資源として再利用される道が開かれます。特に、廃棄物管理を一元化し、効率的な運用を可能にする機能は、多くの企業にとって大きなメリットとなるでしょう。
結論
大和製罐とdigglueによるこの挑戦は、プラスチックリサイクルの新しいモデルを示すものです。持続可能な循環型社会の実現に向けて、彼らの取り組みがどのように進化していくのか、今後の動向に注目が集まります。きっと多くの企業がこの事例に感化され、新たな環境への取り組みを行うきっかけになるでしょう。